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例)研究発表 生命科学科
[2006/11/16]
◇外見と違って体の中はなぜ非対称に出来ているのだろう。

 私たちの身体は、外見上は左右対称である。しかし体内の臓器を見ると、例えば心臓は左にあるなど、非対称にできている。なぜ右にはないのだろう。発生再生医学分野の目野主税教授は、そうした身体を作る仕組みについて、マウスを使って分子レベルの解明に当たっている。
 目野教授が身体の左右を決める遺伝子の中で、中心的な役割を果たすレフティー(Lefty)という遺伝子に関わったのは、大学院時代である。恩師が分離した549番目の遺伝子の解析を担当して、その発現部位や機能を研究した。胚の左側に発現することを初めて突き止めて、レフティーと名付けられた。レフティーはノーダル(Nodal)という別の遺伝子に働きかけて、ノーダルを胚の左側だけに出現させる。これが「正しく左右非対称を生み出す」原因だと見出した。ちなみに、ノーダルを左右ともに発現しない実験マウスは左の臓器も右と同じ形になり、左右に発現させると右の臓器も左の形態になった。さらにその後の研究で、左右形成より以前の受精後5.5-6.5日の段階で、レフティーのうちレフティー1が胚の前部だけに出現することでノーダルを抑制し、前後(頭尾)の非対称性を作ることも明らかにした。
 大変に複雑な胚発生の過程にあって、レフティーもノーダルもその時期だけに、とりわけ左右形成の時期には数時間しか出現しない。一瞬の過程を捕らえて、次の研究へと展開する科学者としての探究心と使命感を見る思いだ。私たちの中には、臓器が左右反対になった内臓逆位や内臓錯位という先天的異常の例も見られる。目野教授は「さまざまな発生現象の分子機構の解明につなげたい。将来的には、先天奇形の原因究明、さらに臓器の再生医療にもつながってくるだろう」という。

写真説明
 受精後8.25日目のマウス胚。紫色の箇所はレフティーが出現している部位を示しており、この領域は将来の臓器の左側になる。

<参考論文>
Yamamoto M,Saijoh Y,Perea-Gomez A,Shawlot W,Behringer RR,Ang SL,Hamada H and Meno C:Nodal antagonists regulate formation of the anteroposterior axis of the mouse embryo.Nature 428:387-392,2004

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