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例)研究発表 生命科学科
[2006/10/06]
◇第2のアスベスト被害を防ぐ―医学研究院女性研究者の活躍

 インジウムという希少金属が最近、注目されている。インジウムとスズとの化合物(ITO)は、ノート型パソコン・液晶テレビ・携帯電話のディスプレイなどに、透明導電膜として広く利用されている。ところが、2001年に製造工場で作業員の死亡が報告され、業界に衝撃が走った。その原因について「インジウム吸引に起因すると見られる」と世界に先駆けて発表したのは、九州大大学院医学研究院環境医学分野の女性研究者、田中昭代講師・平田美由紀助手と筑波大医学部呼吸器内科との共同研究グループである。
 作業員はITOの加工、研磨作業に3年間従事して間質性肺炎で死亡した。肺の病理検査や血液検査で、インジウムやスズが検出されたが、因果関係ははっきりしなかった。田中講師らはすでに15年前から動物実験で、インジウム化合物による肺障害、肺がん発症などの影響を研究発表している。同作業員の血清中から通常の3000倍ものインジウム濃度を確認した。インジウム化合物は、アスベストと同じように肺内に長期間残留する。2002年には別のITO製造従事者が肺障害と分り、厚生労働省は作業環境改善を通達した。併せてこれまでに全国でインジウム関係工場の従業員の健康調査を行い、約10人の新たな患者が分った。
 日本は世界最大のインジウム需要国で、国内消費の80%がITOとして使用されている。インジウムは亜鉛の精製時に副産物として産出する稀少金属だけに、製品を回収し再生利用する過程での汚染の拡大も懸念される。田中講師らは「アスベスト汚染の二の舞にならないように、職場の環境改善など早急な対応が求められる」と指摘する。

<写真説明>
走査型電子顕微鏡で見た酸化インジウムと酸化スズの化合物(ITO)。

<参考論文>
Homma,T.,Ueno,T.,Sekizawa,K.,Tanaka,A.and Hirata,M:Interstitial Pneumonia Devel-oped in a Worker Dealing with Particles Containing Indium-tin Oxide, J.Occup.Health,45,137-139(2003)

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