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例)研究発表 生命科学科
[2006/08/28]
◇他人には言えない苦しみ―増えている排便障害。

 A子さん(50)は排便困難の苦しみから解放されるのに約3年かかった。直腸と隣り合わせの膣との壁が薄いために、力んでしまうと膣の方に直腸が膨らんで排便できなくなる。通常の状態でレントゲンを撮っても腸には器質的な異変がない。原因が分らずに、九州大学病院での排便造影検査などで初めて分った。レクトシール(直腸膣壁弛緩症)と診断された。また、いつも残便感があって知らずに失禁すると訴える患者さん。下痢と便秘と腹痛が繰り返して起こり、乗り物にも乗れないと訴える過敏性腸症候群と診断されたケースもある。いずれも最初に診てもらった医療施設では原因はつかめていない。
 「欧米ではこうした排便障害の患者さんが増え、21世紀の病気だといわれている。日本ではまだ恥かしいから、と我慢する傾向が強いが、最近若い人たちにも増加してきた」と、医学部保健学科の壬生隆一教授(大腸肛門病学)は指摘する。食生活習慣や食事などに起因しているとされるが、大きな要因として挙げられているのがストレスだ。排便の際に、痛みへの恐怖感などから無意識のうちに肛門を閉じたり、便の量に不満を持ったりして力むため、肛門の神経に異常をきたし、肛門括約筋が正常に機能しなくなってしまう。あるいは、直腸と肛門の協調運動がなくなる。年齢や男女に関係なく見られる。
 治療は、生活習慣の改善指導、骨盤底筋体操、括約筋のバイオフィードバック療法(機能回復訓練)、薬物療法などで様々に対応している。症状の重いA子さんの場合は、腹圧によって直腸が膣の方に脱出しないように、膣側から恥骨直腸筋で補強する手術によって直腸の働きを取り戻して改善された。

<写真説明>
左側縦に白く見えるのが直腸。A=安静時の直腸に器質的異常はない。B=排便時は直腸が前方に異常に突出している。

<参考論文>
Mibu, R et al. A simplified defecographic procedure for the assessment of fecal incontinence or obstructed defecation. Colorectal Disease 3:328-333,2001

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