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例)研究発表 生命科学科
[2006/08/18]
◇がん細胞を、老化―増殖停止ー死滅へ導く治療法の研究

 私たちの細胞は老化していくから寿命があるが、がん細胞はいつまでも増殖していく。それががんの怖さだ。では、がん細胞老化に誘導出来れば、死滅させることが出来るのではないか。そうした試みを続けるのは、医学研究院の和気徳夫教授(産婦人科学)だ。
 正常細胞は様々な情報伝達シグナルを働かせて、常に分裂を繰り返しながらいずれ老化する。ところが、がんはその正常な分裂機能を阻害して、がん細胞を不老化させてしまう。
 和気教授は、正常細胞に存在する「P53安定化シグナル」という、細胞を老化に導くシステムをがん細胞に再構築して、がんを治療する方法を研究している。これまでの動物実験で、エストロゲンという女性ホルモンの受容体(ER)が活性化されると、がん細胞の不老化が促進されることを、世界に先駆けて明らかにした(参考論文)。次にそのERを逆に不活性化させることで、「P53安定化シグナル」のシステムが、がん細胞に再構築されて、がん細胞を老化に導くことにも成功した。
 細胞が増殖する様々な情報伝達シグナルには、複雑な分子間の制御機能が働く。その機能を人為的に制御させる薬として和気教授は、てんかんや白血病治療薬など既存の医薬品を応用している。いわゆるゲノム創薬という考え方である。
 和気教授は「がんの種類や、個人によってどこの遺伝子に異常があるか、標的の捉え方が違うので、この研究はまだそのひとつに過ぎない」という。

<イラスト説明>
ER(エストロゲンリセプター)は、抗エストロゲン剤と、ある特定がん遺伝子の情報伝達阻害剤という2つの働きによって、不活性化する。

<参考論文>
Sasaki M, Honda T, Yamada H, Wake N, Barrett JC and Oshimura M:Evidence for multiple pathways to cellular senescence.:Cancer Res., 54,6090-6093(1994)

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