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例)研究発表 生命科学科
[2006/07/21]
◇子どもを安心して任せられる外科医ー周産期から小児治療まで

 九州大学の小児外科は、国立大学の中では全国で最初に開設された(昭和54年)。平成元年には、九州大学病院に全国に先駆けて「周産母子センター」を設置。母体・胎児・新生児を一貫した治療システムが守る。同18年4月から、新病棟に「小児医療センター」を設けて、小児科・小児外科だけでなく、診療各科に分散する子どもベッドを6階フロアーに集約。臨床科の枠を超えたチーム医療が始まった。これも大学病院では全国初の試みである。
 スタートしたばかりの小児医療センター長を兼務する医学研究院の田口智章教授(小児外科)は、前任が周産母子センターの副部長。数々の難しい新生児外科治療を成功させてきた。「とりわけ、生死にかかわる横隔膜ヘルニアの救命率は、九大病院では最近2年間で92%の好成績だ。ひところ、その国の医療水準を反映し、小児外科技術の力量が問われるとさえ言われた食道閉鎖症手術も、この10年で生存率100%」だという。
 年々逓減する一方の出生数とは反対に、小児外科の症例数は急増している(図参考)。田口教授によると「産科・小児科の医師に、昔は助からなかったが今は手術すれば治るという理解が出来た。つまり小児外科への認識が高まったことにもよる」と分析する。併せて、「周産期医療の充実によって、胎児段階からの治療への対応が容易になった」と指摘。周産母子、小児医療両センターの併設は、今後の小児医療のモデルとなりそうだ。
 一方、研究室では高度治療技術の開発にも余念がない。横隔膜ヘルニアの場合、腹筋の一部を利用して横隔膜を形成したり、低形成肺に遺伝子導入を行う再生技術など、分子レベルの取り組みも始めている。また小児の肝移植・小腸移植、小児悪性腫瘍に対する免疫療法を含む集学的治療、小児の内視鏡手術などにも精力的に取り組んでいる。「子どもを安心して任せられる外科医」―それが田口教授のモットーだ。

<グラフ説明>
1978年(昭和53年)を100とした出生率と新生児外科症例の比較。九大病院に周産母子センターを設置以来、症例数が急増している。

<参考論文>
Taguchi T, Suita S, Masumoto K, et al.
Past, Present, Future in Esophageal Atresia
Proceedings of the 15th Fukuoka International Symposium on Perinatal Medicine pp.65-71, 2005




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