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例)研究発表 生命科学科
[2006/06/30]
◇麻疹ウイルスの感染研究に世界的な足跡。

 大学院医学研究院の柳雄介教授(ウイルス学)のグループは、ウイルスが起こす病気のメカニズムや病気の予防と治療について、麻疹(はしか)ウイルスを中心に研究。その成果は、世界の麻疹対策に大きな貢献をし続けている。
 麻疹は、WHO推計によると世界中で毎年3千万人が感染し100万人の乳幼児が死亡している。日本でも小児の予防接種率が低いこともあり、毎年数万人以上の患者と数十人の死者が出ている。麻疹ウイルスは免疫力を低下させて肺炎などの感染症を起こしたり、脳炎を発症させるので死亡率が高い。
 ウイルスは自分では増殖できないので、生体の細胞内で増える。細胞に侵入するためには、細胞表面にあるレセプター(受容体)という仲介役が要る。レセプターはウイルスによって異なる。柳教授らは2000年、麻疹ウイルスのレセプターがSLAM(CD150)という免疫細胞の分子であることを、世界に先駆けて発表した。このSLAMとウイルスの接触を断つことが出来れば、麻疹は発病しない。つまりこの発見は、薬の開発などの麻疹研究に飛躍的な進展をもたらした。
 麻疹ウイルスは動物実験に使うマウスには感染しない。そこで柳教授らはさらに、ヒトSLAM遺伝子を持ったマウスを作ることにも成功した。この遺伝子改変マウスを使って、なぜ免疫低下や脳炎発症をもたらすかなどの研究につなげている。さらに、麻疹ウイルスの遺伝子を組み換えることによって、ウイルス感染が細胞にどういう変化を起こすかを、蛍光色素を使って容易に調べる方法も考案した。一般にウイルスに感染すると、私たちの体内にはこれに対抗するインターフェロンが出来る。するとウイルスはさらにそれに対抗するために、抗インターフェロンを作る。麻疹ウイルスの抗インターフェロンの分子機構解析は、いま柳教授たちのホットな研究テーマだ。

<イラスト説明>
1)麻疹ウイルスのゲノム遺伝子がSLAMを介して細胞に侵入する(図1)。
2)ヒト化マウス(ヒトのSLAMを持つマウス)を使って、様々な遺伝子組み換えウイルスの感染状況を調べる(図2)。

<参考論文>
SLAM (CDw150) is a cellular receptor for measles virus. Nature 406:893-897, 2000
Generation of measles virus with a segmented RNA genome. J Virol 80:4242-4248, 2006

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