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例)研究発表 生命科学科
[2006/04/26]
◇ 法医学者がビデオ制作―医療過誤対応のマニュアル

手術患者を間違えるなど信じられない医療事故が、なぜ頻繁に起きるのだろうか。医療訴訟件数は、2000年だけで767件、10年前の2倍以上(最高裁調べ)である。大学院医学研究院の池田典昭教授(法医学)は「大正期の解剖記録が残っているが、全く同じような医療事故が今も繰り返されており100年前から進歩していない」という。その大きな理由は医療事故に関する情報が遺族や一般に開示されていないからだ、とも指摘する。
 司法解剖は犯罪性や過失が疑われる場合に行われる。医療過誤もそうだ。そこで池田教授は、自ら関わった司法解剖を基に同じような事故を防ごうと、このほど「医師からみた医療過誤対応マニュアル」のビデオ・DVDを制作した。
作品は全6巻。診断・治療・麻酔・看護における過誤の実例(第2巻)、注射・手術・投薬・点滴での実例(第3巻)を再現ドラマで紹介し、池田教授がその原因を検証して解説する。第4巻には、訴訟になぜ敗れたか、病院側の注意義務、患者・家族へのインフォームド・コンセント(説明と同意)のあり方を。第5巻では、悲劇的な運命をたどった一人の医師を通して、長期化する医療訴訟がもたらす悪影響を取り上げている。
 第1巻には、医療に対する患者の不満をインタビューし、九大医学部名誉教授の杉町圭蔵氏が現代医療の問題点やセコンドオピニオンの重要性を説いている。「名誉と責務」とした第6巻で、池田教授は①患者・親族の訴えは十分に聞く②診療録を確実に作成する③自分の判断(診断)に疑問を持つ④処置(治療法)の選択肢を複数持つ⑤患者・遺族が納得する説明をする⑥上司・同僚・部下との密な連携⑦己の限界を知る―の医療過誤防止の7箇条を提示している。
 池田教授は「医師の補助行為しか出来ない看護師、不足する麻酔科医など日本の医療システムの中にこそ過誤を生む多くの問題がある。医療従事者だけでなく司法関係者、行政、患者さんにも勧めたい。出来れば病院の待合室当たりで放映していただきたい」という。

<写真説明> 左がビデオ、右がDVD。ビデオ、DVD各1セット(6巻)18万円。販売元・大道学館出版部(電話092-642-6895)。

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