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例)研究発表 生命科学科
[2008/12/04]
◇網膜色素変性に遺伝子治療――世界初の臨床研究へ

初めは暗いところでものが見にくい、いわゆる「鳥目」の症状から次第に視野狭窄や視力低下が進んでくる。難病の一つ、網膜色素変性症である。ものが見えるということは、網膜(カメラのフィルムにあたる部分)でとらえた光を視細胞が電気信号に変換して、視神経を通じて脳に伝達することで成り立つ。網膜色素変性は、視細胞が徐々に失われるために、次第に視力が無くなっていく遺伝性の病気だ。日本では約5千人に一人の割合で発症し、失明の恐れもあるが有効な治療法はまだ見つかっていない。
 医学研究院の石橋達朗教授(眼科学)らは、このほど視細胞を保護するタンパク質(神経栄養因子)の遺伝子を投与して、視細胞の喪失を抑えることで視力の低下を防ぐ方法を開発した。この病気へのレンチウイルスベクターを用いた遺伝子治療は世界で初めて。学内の倫理委員会の承認を得たため、年内にも厚生科学審議会に実施申請する。
 網膜色素変性は、網膜にある細胞の遺伝子にキズがあることで視細胞が死んでしまう病気であるが、これまでに約40種類の原因遺伝子が分かっている。石橋教授らは、神経栄養因子の一つである色素上皮由来因子(PEDF)という遺伝子を組み込んだサル免疫不全ウイルス(SIV)ベクター(遺伝子の運び役)を開発した。これを眼の中に注射することで、眼の中でPEDFのタンパク質が作られ、視細胞を保護して治療効果を発揮するというものだ。網膜変性を発症する動物で、網膜変性を遅らせることに成功した。
 臨床研究計画では、まず5人の被験者に低濃度のPEDF遺伝子を導入したベクターを含む溶液を注射して、それぞれ4週間観察する。急性期の異常が無いことを確認した後、さらに高濃度のベクター溶液を15人の被験者に注射する。それぞれの症例を2年間経過観察して安全性を検討する。

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