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例)研究発表 生命科学科
[2007/12/06]
◇九大から情報発信、世界に拡大する遠隔医療――ヨーロッパとも繋がる。

 2007年8月。場所は中国西安市内のホテル。会場の大きなスクリーンには、二つの内視鏡検査の場面が映し出された。一つは九大病院からの胃、もう一つは京都第二赤十字病院からの胆道の内部だ。同時にマヒドン大学シリラ病院(タイ)、マラヤ大学(マレーシア)、台湾大学病院、漢陽大学(韓国)、ハンブルグ大学(ドイツ)にも送られた。翌日は高麗大学(韓国)病院の大腸手術場面が西安会場のほかに、フィリピン大学、タタ記念病院(インド)シンガポール大学、東京医科歯科大、ボルドー大学(フランス)にも送られた。西安会場には、受像した各国会場の様子も映し出され、盛んに討論が行われた。今回注目を集めたのは、アジアからヨーロッパ2か所に初めて遠隔医療映像が送られたことである。
 2002年に日韓交流推進を目的に、両国(福岡ーソウル)に大容量の超高速インターネットが開通した。九大病院光学医療診療部の清水周次准教授らは、この回線を使い最新のDVTSの技術を生かして日本の内視鏡手術を初めて国外に紹介した。日本で開発されたこのDVTSは、複雑な電算処理をせずに高品質動画を遠隔地に送受信出来る。画質の鮮明さ、通信技術、医療技術レベルの高さ、すべてが韓国にとって衝撃だった。
 これを契機に、九大側から提供する手術のライブやテレビカンファレンスなどの医療情報交換に中国、タイ、オーストラリア、インドネシア、ベトナムなどの基幹病院や大学も参加して瞬く間にアジア中心に拡大した。現在、国際的学術通信網である アジア太平洋高速ネットワーク会議(APAN)に加盟する13カ国が参加している。先のAPAN西安会議では、EUの強い要請があって初めてヨーロッパに発信したのだった。  
 これまで脳の顕微鏡手術、ロボット手術や血液病理動画像、医療情報の交換など、多方面に利用されている。2007年1月のマニラのAPAN会議では、アジア各国を巻き込んだ鳥インフルエンザに関する緊急情報を交換した。「各国が持つ学術研究用の情報ネットワークを繋ぎ合うだけで、多くの時間と費用をかけずに世界中で最先端の医療技術や情報を共有できる」と清水准教授。将来的には、これを専門に取り組む医師や技術者などのスタッフ、医療映像施設などを備えた「アジア遠隔医療センター」の構想を持ち、年度内にワーキンググループを組織する準備を進めている。

<写真説明>APAN西安会議のスクリーン。九大病院と京都第二赤十字病院からの内視鏡映像を見ながら各国間で活発な議論がなされた。
<参考論文>
Shimizu S, Nakashima N, Okamura K, Han HS, Tanaka M: Telesurgery System with Original-Quality Moving Images over High-Speed Internet: Expansion within the Asia-Pacific Region. J Laparosc Adv Surg Tech, 17(5): 673-678, 2007

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