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例)研究発表 生命科学科
[2007/11/13]
◇ 漢方外来を新設――西洋医学と東洋医学の融合診療

 「現代医療における漢方医学の重要性を学ぶ」ことを目標に、九大医学部では平成15年度から、4年生の医学総合講義の中で「漢方」を必修とした。九大病院でも、今年6月から総合診療部が週2回、漢方外来を始めた。
 漢方医学の大きな特色の一つは、いくつもの天然の薬物を組み合わせて使うことにある。天然の薬物を「生薬」といい、生薬の多くは草根木皮を用いるが動物や鉱物を使う場合もある。漢方薬は、組み合わせられた生薬の複合作用で、いろんな薬効を発揮する。同診療部の貝沼茂三郎医師は、肝炎治療にインターフェロンを使って発熱する患者さんに、漢方の麻黄湯を併用して治した。「これはインターフェロンによって誘発されるインフルエンザなどの症状が、漢方医学的にみると麻黄湯の適応病態と考えて併用療法を行った」と貝沼医師。
 漢方医学は、平成13年度から大学での医学教育の必須科目とされる中で、臨床実習の場が必要となり、大学病院に漢方外来を設ける所が増えている。医学部を持つ国公私立併せて80大学中、65の大学病院が何らかの形で開設している(同医師)。九大病院が研修医に行ったアンケート調査でも、約7割が「診療に漢方が必要だ」としていた(グラフ参)。
 西洋医学では、臓器別に原因を探して治療するのに対して、漢方医学では、体のどこに起きている病気でも全身の状態から体の歪みをとらえ、治療では、その歪みを正す薬を用いることで、患者さんが本来持っている自然治癒力を生かそうとする。したがって、同じ病気でも患者さんの状態によって用いる薬が違ったり、逆に違う病気に同じ薬を用いることがある。貝沼医師は「患者さんの症状や状態(漢方で証という)に合わせた方剤が一人ひとり違う。漢方治療は、高齢化社会の中でますます重要になって来る。その治療の原点は煎じ薬を用いた湯液治療であり、診療で生薬を扱えることは非常に大事だ」という。漢方外来を設けた大学病院では、多くが漢方薬のエキス剤を使用しており、生薬までを扱うのは国公立の大学病院では九大など4病院だけである。
 林純総合診療部長は「西洋医学と東洋医学を融合させた診療は、プライマリケア、全人的医療を行える臨床医にはこれから必要になる」と話している。 

<グラフ説明> 初期臨床研修医に対する漢方医学に関するアンケート(105名中92名回答)
2006.10
<参考論文>
The efficacy of herbal medicine (Kampo) in reducing the adverse effects of IFN-β in chronic hepatitis C. Am J Chinese Med 30:355-367,2002. 貝沼茂三郎、林  純、ほか

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