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例)研究発表 生命科学科
[2007/06/19]
 ◇消化管ガンの抑制に働く遺伝子の機能を世界に先駆けて証明

 私たちの体内においてエネルギー代謝等の様々な活動に不可欠な酸素は、活性酸素という悪玉になって糖尿病・動脈硬化などの生活習慣病や、ガン・老化などに深くかかわっていることが分かってきた。活性酸素は体内に侵入した病原菌をやっつける際にも活躍するが、強い酸化力で細胞の遺伝子DNA(デオキシリボ核酸)に傷をつけることがある。医学研究院の續輝久教授(基礎放射線医学・分子遺伝学)は、活性酸素が遺伝子DNAを変質させて突然変異を起こし、発ガンにつながるのを防ぐシステムを研究している。
 活性酸素は、日常の体の代謝活動、放射線や炎症など内外からの様々な要因で常に発生している。これが遺伝子の設計図であるDNAなどを酸化して傷をつけると、いくつかの酵素が調和して働いてそれを自然に修復してくれる。一方、傷が多過ぎる細胞は、アポートシースという細胞死の仕組みで積極的に排除している。そのおかげで、私たちは遺伝子DNAに傷がついても、正常に生きていけるようになっている。修復力が弱いと傷ついた遺伝子は突然変異を起こして、発ガンにつながることがある。
 修復する酵素にもいろんな種類がある。續教授たちは、「Mutyh」という修復酵素に注目して研究を進め、このほど遺伝子欠陥マウスを使った実験から、活性酸素で損傷されたDNAの傷が原因となって生じる突然変異を起こさせないようにすることで、消化管ガンが生じないようにしていることを、世界に先駆けて実験的に証明した。この研究成果は、5年前に報告されているイギリスの大腸ガン患者多発家系の発生理由を臨床的に考察したことに対しても裏付けることになる。この研究は、生体防御医学研究所の中別府雄作教授らのグループが樹立したMutyh遺伝子欠損マウスを用いた共同研究として行われ、このほどアメリカ癌学会の機関誌Cancer Research誌に掲載された。
 續教授は「活性酸素等によって生じている消化管での酸化ストレスを、食事等をコントロールしたりすることにより、今後の発ガン予防にもつながる可能性がある」という。

〈研究論文〉
Sakamoto K, Tominaga Y, Yamauchi K, Nakatsu Y, Sakumi K, Yoshiyama K, Egashira A, Kura S, Yao T, Tsuneyoshi M, Maki H, Nakabeppu Y and Tsuzuki T,: MUTYH-null mice are susceptible to spontaneous and oxidative-stress-induced intestinal tumorigenesis. Cancer Res., 67, 6599-6604(2007)

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