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例)研究発表 生命科学科
[2007/05/08]
◇痛み信号の脊髄伝導信号を記録する―世界に先駆けて生体内パッチクランプ法開発

痛みの信号は、末梢神経から脊髄に伝わり、さらに大脳皮質まで行って「痛み」として感じる。全身の感覚神経の通り道である脊髄では、いったいどのような現象が生じているのだろうか。脊髄での感覚伝導の仕組みを理解することが出来れば、がん疼痛や神経痛などの慢性疼痛の苦痛から患者を開放する治療法を開発出来る。吉村惠教授(統合生理学)は電気生理学手法を使って工夫を重ねて、独特の手法in vivoパッチクランプ法を考案した。
細胞が炎症などの刺激を受けると、細胞の興奮性が変化して、弱い痛み刺激でも強い痛みと感じるようになる(痛覚過敏)。パッチクランプ法というのは、微小のガラス電極を脊髄の神経細胞膜に密着(パッチ)させて膜電位を固定(クランプ)し、どのような興奮が起きているかを記録する。痛みを研究する世界中の多くの人は、動物の脊髄のスライス標本を使う。しかしそれでは皮膚からの痛み信号入力が切断されているため、大脳に情報がどのように伝わるかをつかめない。吉村教授は麻酔をかけたラットの脊髄から直接測定できるin vivoパッチクランプ法を開発、脊髄から大脳へ痛みの情報が伝わる経路を記録する方法に世界に先駆けて成功した。「脊髄だけでなく、大脳皮質・小脳・脳幹などの中枢神経の機能測定にも応用できる」(吉村教授)飛躍的な研究方法である。
 針治療ではツボを刺激する。針治療で足三里という箇所を刺激すると、体のいろいろな部位の痛みに対して鎮痛作用がある。図のようにラットを使って、足三里に電気的刺激を与えたところ、抑制性応答が誘起される。これによって痛み刺激の応答を抑制する。つまり鎮痛作用が発現する。脊髄から情報を得た大脳や脳幹が、痛みを和らげるセロトニンやノルアドレナリンなどの痛覚抑制物質を分泌するためと考えられる。

<イラスト等の説明>左図はin vivoパッチクランプ法を示す。ラットの足三里を刺激した場合(右下写真)のin vivoパッチクランプ法で記録した脊髄の抑制性応答信号が右上図。
<参考論文>Go Kato, Toshiharu Yasaka, Toshihiko Katafuchi, Hidemasa Furue, Masaharu Mizuno, Yukihide Iwamoto, and Megumu Yoshimura Direct Gaba ergic and Glycinergic Inhibition of the Substantia Gelatinosa from the Rostral Ventromedial Medulla Revealed by In Vivo Patch-Clamp Analysis in Rats. The Journal of Neuroscience, February 8, 2006・26(6):1787

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