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例)研究発表 生命科学科
[2007/04/10]
◇気管支ゼンソクの予防に繋がる受容体の発見

平成18年の4月から医化学分野に赴任された横溝岳彦教授(医化学)は、産婦人科医から生化学・分子生物学の研究者に転じた異色の研究者だ。その契機となったのは、全国の産婦人科医が陣痛促進剤として使用しているプロスタグランジンという生理活性脂質の研究を始めたことだった。同じく生理活性脂質であるロイコトリエンは、炎症を引き起こすことで知られている。細菌が感染した部位には、細菌を退治しようと白血球が集まってきて炎症が起きる。この白血球を呼び寄せるのがロイコトリエンだ。
横溝教授は、ロイコトリエンと結合する受容体の遺伝子(BLT1)を白血球から発見して発表し、世界的な反響を呼んだ。さらにロイコトリエンに結合する3つの受容体の同定にも成功した。その後、BLT1を持たない欠損マウスを人工的に作って、普通(野性型)のマウスと気管支ゼンソクの発症の違いを調べた。気管支ゼンソクを引き起こした野性型マウスの肺には白血球の一種である好酸球がたくさん存在するのに、BLT1欠損マウスの肺にはほとんど見られなかった。また気管支の収縮が野性型マウスでは起きるのに欠損マウスでは起きないことも分かった。つまりBLT1とゼンソクの関係が明らかとなり、この受容体の働きを抑えればゼンソクの発症を予防できるのではないか、と考えている。
 横溝教授によると、ヒトの受容体遺伝子は約千種類存在するが、どういうものが結合するか分かっているのは約200種類だけだという。白血球を呼び寄せる物質もロイコトリエンだけではない。同教授の研究室では、約20種類の受容体について炎症や免疫反応と関連する物質(リガンド)を見つけ出す地道な研究を続けている。

<写真説明> 野性型のマウスの気管に無数に浸潤している好酸球が、欠損マウスの気管では非常に少ない。
<参考論文>Absence of Leukotriene B4 Receptor 1 Confers Resistance to Airway Hyperresponsiveness and Th2-Type Immune Responses1 Kan Terawaki, Takehiko Yokomizo, Takahide Nagase, Akiko Toda, Masahiko Taniguchi, Kohei Hashizume, Takeshi Yagi,and Takao Shimizu. The Journal of Immunology,2005,175:4217-4225.

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