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例)研究発表 生命科学科
[2007/03/05]
◇動脈硬化やメタボリックシンドロームを防ぐ――新治療薬の開発を目指す。

動脈硬化を引き起こす血管障害や心筋症の病態解明、新しい薬物治療法の開発などの研究を行っている臨床薬理学(笹栗俊之教授)教室では、生体の恒常性を保つ物質であるプロスタグランジン(PG)に関して、興味深い研究が進んでいる。
痛みや血管の炎症を引き起こす原因物質として発見されたというPGは、一方で血圧や心機能、睡眠などの様々な生理的作用を調整し、ホルモンのように働いている。同教室では、「PGの一つであるPGJ2が血管細胞に保護的に作用する」ことをすでに発表し、これを動脈硬化予防・治療薬として応用しようとしている。動物実験では、PGJ2の合成に必要な酵素(L-PGDS)を産生することが出来ないマウスと、動脈硬化を起こしやすいマウスとの間に生まれたマウスに、脂肪分の多い食事を与え続けると、動脈硬化が進行する傾向が見られた(イラスト参照)。また逆に人工的に動脈硬化を起こしたラットの血管に、L-PGDS遺伝子を導入すると、血管の炎症が抑えられていることが分かった。これらの結果は、「動脈硬化の原因となる血管の炎症を、PGJ2が抑える」ということを示すものだ。
さらに最近問題になっているメタボリックシンドロームに、PGJ2が有効である可能性もあるという。メタボリックシンドロームの成因として、内臓脂肪の増加によってインスリの働きが悪くなって、血糖値が下がりにくくなることが挙げられる。PGJ2はこのインスリンの働きを改善させる作用があり、これらのメカニズムの解明や予防・治療への応用につながる研究も進めている。三輪宜一助手は「まだまだハードルは高いが、将来的には治療薬の開発につなげていきたい」と語る。

<イラスト> PGJ2の産生に必要な酵素(L-PGDS)を体内から欠損させたマウスと、動脈硬化モデルマウス(ApoE 欠損マウス)から生まれたマウス(ダブル欠損マウス)は、重度の動脈硬化を現す。
<参考論文>
Sasaguri T,Miwa Y(2004)Prostaglandin J2 family and the cardiovascular system.
Current Vascular Pharmacology2,103-114

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