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例)研究発表 生命科学科
[2006/04/17]
◇臨床研究から見た肝臓ガンの予防―ぜひ知っておきたい

 “人体の化学工場”といわれるほどたくさんの働きをする。少々のことではへこたれないし、自覚症状も無いから“沈黙の臓器”とも言われる肝臓。だが肝臓ガンは年々増加し、その死亡率は胃ガン・肺ガンと肩を並べるほど高い。大学院医学研究院の林純教授(感染環境医学)によると、長年の豊富な臨床研究から「肝臓ガンを防ぐ手立てはあります」。
 林教授の講義を拝聴しよう―。肝炎ウイルスの中でも、肝臓ガンの原因になるのはB型(HBV)とC型(HCV)で、いずれも血液を介して感染することが多い。慢性肝炎→肝硬変→肝臓ガンと進む。慢性の肝臓病の60%はHCVによるもので、25%はHBVによる。肝臓ガンまで進行した80%はHCVである。特にC型慢性肝炎の方は加齢とともに肝臓ガン発症の危険性が増してくる。私たちには感染した自覚が無いから、日ごろの定期検査でチェックするしかない。一般に肝機能はAST、ALT(両方とも肝臓細胞に含まれる酵素)の血液内の数値で判定されるが、これはその時の肝臓細胞がどの程度壊れているかを診るわけで、長い間肝臓に障害があり、今までにどの程度肝臓細胞が壊れて、どの程度の肝臓機能が残っているかの目安には、むしろ血小板の数値が役立つ。10万(単位はマイクロリットル)以下の人は慢性肝炎から肝硬変への移行が疑われ、5万以下は肝硬変が濃厚だという。
林教授は「慢性肝炎の患者さんは、血液検査による肝機能検査だけでなく、腫瘍マーカー、腹部エコーや腹部CTによる肝臓ガンのチェックを定期的に受け、また、慢性肝臓病の死因の一つである食道静脈瘤のチェックを上部消化管内視鏡で受けるよう」に勧めている。
 ガンへの進行を食い止める治療の現況は―。B型慢性肝炎の治療には、経口薬のラミブジンや2005年から併用されているアデホビルが有効だ。C型慢性肝炎の治療はインターフェロン(IFN)の注射で、最新はPegインターフェロンα-2bとリバビリン(経口)の併用療法が、難治性C型慢性肝炎(ウイルスのタイプが1型で、ウイルスの量が多い)にも高い効果が認められている。

<イラスト説明>福岡県某地区のHCV感染者がどのくらい肝ガンを発症したかを10年間に渡り調査した。HCV感染者でも肝機能が正常なら肝ガンへの進行は121人の中で2人だった。

<参考論文> Hayashi J, Furusyo N, Ariyama I, Sawayama Y, Etoh Y, Kashiwagi S:
A relationship between the evolution of hepatitis C virus variants, liver damage, and hepatocellular carcinoma in patients with hepatitis C viremia. J Infect Dis 181(5):1523-1527, 2000

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