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例)研究発表 生命科学科
[2006/03/22]
◇ 早期前立腺がんを体内から副作用少なく、効果的に放射線攻撃

アメリカでは男性のガン患者数第1位(成人男子の死亡原因の20%)、日本でも急激に増えているのが前立腺ガン。前立腺を詳細に調べてみると、50歳以上の男性の3人に1人は潜在的に前立腺ガンを持っているといわれている。早期前立腺ガンの治療法のひとつ、密封小線源永久挿入療法は日本ではまだ珍しく、九州では九州大学病院が初めて2005年3月に開始した。
放射性物質(ヨウ素125)を詰めたシードといわれる線源カプセル(長さ4.5㍉、直径0.8㍉のチタン製)を、超音波装置で映し出した前立腺の画像を見ながら、注射器で会陰部から前立腺内部に50-100個埋め込む。腹壁の外部から照射する従来の放射線治療よりも、大きな線量を集中的に、より効果的に照射できる。また適切な患者さんであれば前立腺を摘出する手術と比べて生存予後に差がなく、入院日数は短く、患者さんの身体苦痛や尿失禁などの合併症も極めて少ない。健康保険が適用され、自己負担費用は40-50万円程度(4月から改定予定)。同病院には希望者が相次ぎ、すでに42人が治療を受けた。2006年10月までは予約で一杯だ。
内藤誠二教授(泌尿器科学)によると、本治療の最適な対象者は、①血液検査でPSA(前立腺ガンの腫瘍マーカー)値が10未満、②生検病理組織検査によるグリソンスコア(前立腺がんの悪性度)が6以下、③ガン病巣が前立腺内に限局――という早期前立腺ガンで、④前立腺の容積が30cm3以下の人である。訪れる治療希望者の中には、残念ながらこの基準から外れる人もあるが、そのような方には他の放射線療法や手術など、それぞれに最も適した治療法が勧められている。
泌尿器科医・放射線治療医・麻酔科医の連携、放射線治療と管理のための装置や治療病棟が必要なので、本治療を実施できる病院は限られる。アメリカでは1980年代から行われて、現在では根治的前立腺摘除術に匹敵する数の患者さんが本治療を受けている。シードを体内に持つ患者さんが町中を歩き回ることになるが、シードの放射線は極めてエネルギーが低く、たとえ患者さんのすぐ横に立っても被曝は全くといってよいほどない。このように周囲の放射線被曝という点でも十分安全な治療法であるが、放射線規制の厳しい日本ではなかなか実施できず、2003年にようやく認可された。

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