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例)研究発表 生命科学科
[2006/02/06]
◇高血圧をコントロールするホルモン ―― アンジオテンシンに新たな標的

 死亡率の高い心不全、脳卒中、腎不全などの合併症にもつながる怖い高血圧。これは心臓から血管に血液が流れ出すときの調節バランスが崩れて、血圧が上昇したままになるからだ。血圧調節を崩す原因には加齢、ストレス、塩分や肥満、タバコなどいろいろと指摘されている。またバランスを調節する因子にも、神経やホルモンなどたくさんある。
 九州大学大学院医学研究院の循環器内科(砂川賢二教授)の市来俊弘医師は、アンジオテンシンⅡという肝臓で作られるホルモンと、血圧の降圧薬との関係を研究している。
 アンジオテンシンⅡは、血管を収縮させて血圧を上げる働きをする。市来医師によると、それだけではなく実は心筋肥大、動脈硬化促進、不整脈などを促進させるという“諸悪の根源”のような働きもある。そこで治療に使う降圧薬は血圧を下げるだけでなく、そうしたアンジオテンシンⅡの働きを抑えて、心不全、動脈硬化などを悪化させないようなものを目指して、各薬品メーカーは開発にしのぎを削っている。
 市来医師は、ラットを使った実験で、アンジオテンシンⅡに活性化された転写因子(遺伝子の発現を制御するたんぱく質)の一つCREB (cAMP response element binding protein)が、動脈硬化など“悪の働き”に手を貸していることを突き止めた。現在、アンジオテンシンを標的にした降圧薬として、約20の薬剤がある。しかし作用としては、アンジオテンシンの産生量を抑えるか、その働きを抑えるか、大きく2種類だけだ。市来医師は「CREBを新たな治療の標的として、創薬や遺伝子治療につなげて行きたい」と研究に意欲を燃やしている。

<<参考論文>>
Tokunou T, Shibata R, Kai H, Ichiki T, Morisaki T, Fukuyama K, Ono H, Iino N, Masuda S, Shimokawa H, Egashira K, Imaizumi T, Takeshita A. Apoptosis induced by inhibition of cAMP response element binding protein in vascular smooth muscle cells. Circulation 2003;108:1246-1252

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