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例)研究発表 生命科学科
[2006/01/30]
◇受け継がれる戸田細菌学 ―― 九州大学発の超ロングラン医学教科書

 日本で医学を学ぶ人なら、必ず手にしたり読んだことのある教科書が九州大学にある。タイトルは「戸田新細菌学」。著者は九州大学医学部の戸田忠雄・第2代細菌学教授。結核菌とBCGワクチンの権威で、西日本で初めて九州大学に電子顕微鏡を導入した。1939年の初版から今日まで約70年に渡り、32版もの改定がなされてきた。戸田教授亡き後は同門の後輩教授や研究者が引き継いで加筆してきた。日本では類例の無い超ロングランの医学教科書である。
 現在の編集者は、大学院医学研究院の吉田真一教授(細菌学)と柳雄介教授(ウイルス学)。自らもこの本で学んだ27人にのぼる現在の執筆人は、九州大学だけでなく全国各地の大学・研究所などに広がる。内容は細菌学だけでなくウイルス学、真菌学、免疫学を含めた微生物学全体に及ぶ。5年おきの大改定とその都度必要な加筆をしている。SARS(重症急性呼吸器症候群)、鳥インフルエンザなどの新興感染症が次々に現れる現代。当然、日々の世界の動向、研究の最先端情報を取り込んでいく。初版本の596ページから最新版は1042ページにふくれ上がり、重量感たっぷりの分厚さだ。
 なぜこれほど息が長いのか。戸田教授の最後の弟子で、退官後も教科書の改訂に当たる第4代細菌学教授だった天児和暢名誉教授は「学問が進歩してくると、専門分野が分かれて一人で教科書を書くのは無理だ。引き継がれたのは戸田教授後継者がそれだけ研究者として立派に育っている証だ」という。「詳しく分かりやすいという評価から、全国の医学生だけでなく病院の検査技師、保健所、衛生研究所などでも広く利用されている」(吉田教授)。次回改訂から原虫学も加えて、微生物学の全分野を網羅する計画である。

<写真説明>かなり使い古された初版本(左)と最新版(右)。

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