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例)研究発表 生命科学科
[2005/12/02]
◇自殺予防、うつ病対策に九大も乗り出す

 毎年3万人を越える自殺者。とりわけ働き盛りの中高年男性に増え続ける。その多くが何らかの精神的な疾患を持ち、3割がうつ病とのかかわりを指摘されている。
 厚生労働省は、今年から5年間かけて全国で15万人を対象とする大規模な臨床研究として「自殺関連うつ対策戦略研究」を立ち上げた。その企画に関わり、戦略研究の倫理委員会委員長兼評価委員でもある、九州大学大学院医学研究院の神庭重信教授(精神病態医学)は、今秋から福岡市と福岡市医師会と連携して、中高年者の自殺予防、うつ病啓発に取り組んでいる。
 「自殺者の多くは、生前に倦怠感、身体の不調、さまざまな部位の痛みなど多彩な身体症状を訴えて医者にかかっている。ところがその段階でうつ病のシグナルを見逃していなかったか」と神庭教授。啓発事業では、プライマリケア医師や医療従事者には早期発見・専門医への紹介のタイミングなどを、市民や企業にはうつ病の症状・患者家族の心得などを学んでもらう。市ぐるみは全国で初めての試みだ。うつ病は、生活環境やストレスなど、さまざまな要因で脳の神経伝達物質のバランスが崩れて起こるとされる。神庭教授の研究グループが全面的にこれをバックアップする。
 神庭教授によると、糖尿病、脳梗塞などの重い身体疾患をもつ患者は、うつ病になりやすく、うつ病を合併すると身体疾患の予後が悪くなるという。また慢性C型肝炎治療に使われるインターフェロンを使用すると、うつ病になるケースが多い。なぜうつ病になるのか。記憶と情動を司り、脳の中で唯一神経の新生機能を持つ組織が海馬。教授たちは最近の研究で、インターフェロンが海馬の新生機能を抑制することが明らかにし、うつ病は海馬の神経新生と関係がある、という新しい可能性を見いだした。

〈グラフ説明〉自殺予防マニュアル「一般医療機関におけるうつ状態・うつ病の早期発見とその対応」(2004.日本医師会)より。一部修正使用。

〈最近の論文〉
Kanba, S.
Fascinated by brain and psychopathology.
In Reflections of Twentieth-Century Psychopharmacology. Edited by Ban, TA., Healy, E., and Chorter, E. Animula Publishing House, Budapest, pp. 405-408, 2004.

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