TOP > お知らせ・イベント一覧 > 詳細

お知らせ・イベント情報

キーワード検索
例)研究発表 生命科学科
[2005/10/13]
◇手術患者の危機管理 ―― “ガンダム戦士”が担う

「急激な血圧低下発生!」「輸液全開!」
 患者の血圧・脈拍数・呼吸数を、ベッドサイド監視装置で絶えず監視する眼、眼、眼。医学生たちの的確な短い言葉のやり取り。あとは心臓の拍動を示す計器独特の乾いた音だけが部屋に響く。
 九州大学医学部は1995年、全国に先駆けてコンピュータ模擬患者を導入した。この患者人形は人間と同じように呼吸し、生体反応を見せる。この日は、高齢者の胃がん摘出手術中に大量出血という緊急事態を想定し、医学生男女6人が麻酔の模擬実習をした。
 現代の先進外科手術は、高度な電子機器を使って緻密に手術を行う反面で、患者に対する侵襲性(外部から加わる肉体的危険と精神的苦痛)も増している。そのために手術に参加する麻酔科医に対して、安心・安全医療を実現する担い手となる期待が高まっている。
 同大学医学研究院の高橋成輔教授(麻酔・蘇生学)は、手術を受ける患者を支えるために必要な総合医療の体系を「周術期防御医学」と呼び、学問としての必要性を20年来訴えてきた。医療過誤の絶えない今日、安全に手術するには麻酔科医が必要だとの認識が医療界に広がり、全国的な麻酔科医不足を生じていることからも、正しい訴えであったことが証明されている。
 手術患者の体にメスが入る。痛み、出血、感染という脅威に加えて電気・放射線・医療ガスなどもまた、時に患者への侵襲となる。患者の安全管理から目を離せない。この手術環境と患者の全身管理を良好にコントロールする“危機管理者”が麻酔科医である。周術期防御医学こそ「侵襲という悪魔の攻撃を撃退して患者を守る“ガンダム戦士”」だと高橋教授。この模擬実習は臨床教育で全医学生を対象に実施しており、受講生はすでに千人を超える。

写真は、シミュレーター人形を使って坂口嘉郎講師と実習する学生たち。
イラストは、“ガンダム戦士”――周術期防御医学の基本骨格

ページの先頭へ戻る