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例)研究発表 生命科学科
[2005/08/05]
◇幼い命の守護神―果敢に挑戦を続ける免疫グループ

 重症複合免疫不全症。生まれながらにして免疫機能に異常があるので病原体に弱く、感染症を繰り返して乳児期に死亡する大変恐ろしい病気である。その治療に果敢に挑戦を続けるのが、原寿郎教授(小児科学)以下の小児科免疫グループだ。助かる道はただひとつ。赤血球、白血球などを作り出す造血幹細胞を移植する方法しかない。
 体重わずか1626グラムで誕生した未熟児が、この病気と分かったのは出産直後。薬剤も安全に使用できる体重ではない。そこで兄の骨髄細胞から、CD34陽性細胞という造血幹細胞が入った細胞を採取して移植することになった。兄のCD34陽性細胞に、免疫細胞(T細胞)が混入していると、移植されたT細胞が弟の体の中で全身の細胞を攻撃するGVHD(移植片対宿主病)が起きる。混入しているT細胞を、移植前に取り除く“純化“(イラスト参照)が成否のポイントになる。術後回復するまでの3ヶ月間は、感染を防ぐために無菌室に隔離し、母乳でなく人工ミルクを滅菌して与えた。治療は無事に成功した。メンバーの高田英俊講師(免疫学)によると「免疫機能不全による感染で死亡することを防ぐためにこの手術を行ったが、未熟児には世界でも例がなかったし九大でも1例だけ」だそうだ。
 生後1ヶ月と6ヶ月の乳児二人に対しては、臍(さい)帯血移植で重症複合免疫不全症を克服した。へその緒や胎盤に含まれる臍帯血には、造血幹細胞が多く含まれている。しかも骨髄移植の場合よりも、提供側と患者側との適合の許容度に幅があるので、最近は大人の白血病治療などでも注目されている。

<イラスト説明>骨髄からCD34陽性細胞を特殊な磁石で選び出して、さらにその中から同じような方法でT細胞を取り除いて純化する。

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