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例)研究発表 生命科学科
[2009/04/13]
◇やあやあやあ<私の海外留学>横田 謙治郎さん 41(九大病院精神科神経科助教)

 


-近代精神医学のルーツに触れる。

 ドイツ・ハイデルベルク市は、街中央をネッカー川が流れる静かな古都のたたずまいを見せる。人口約14万人のうち学生が3万人という大学都市である。その中心ハイデルベルク(Heidelberg)大学は、1386年に創立した同国最古の大学として知られる。
 九大病院精神科神経科医師、横田謙治郎さんはその大学病院に2005年10月から約2年間留学した。初めの7か月は主に語学学校で語学を学び、後半は客員医師として。
 語学学校では、韓国、タイ、アメリカ、メキシコ、ペルー、イタリア、トルコ、カザフスタン、ウクライナなど多彩な顔ぶれだった。美術や音楽系志望の留学生も多かった。7ヵ月後からは午前の語学授業を夕方からに切り変え、日中は医師の仕事に専念した。
 家族との住まいは、子供が通う日本人学校のあったフランクフルト市。大学病院から約80キロ北にある国際都市。通勤列車は時間通りに来ることは少なく、遅れて到着してもすぐ出発する。だから乗客は通勤駅に時間通りに並び、来ればすばやく乗り込む。列車、路面電車、地下鉄、バス、タクシーは、日本と違って自分でドアを開けねばならない。自販機は駅のホームにしかない。スーパーの袋は有料、ペットボトルはいわゆるデポジット制で換金できる。テレビ報道でも良く知られたリサイクルが徹底したお国柄である。また、休息を大切にする国民性から夜8時時以降と日曜祝日には商店が閉まる―。
 ハイデルベルク大学病院を選んだのは、近代精神医学の創始者とされるクレッペリン(Kraepelin)やヤスパース(Jaspers)など、学問的な柱を築いた人材を輩出した伝統ある大学だったからだ。「自分の専門分野の統合失調症にどのようにアプローチするか、ドイツではどのようになされているか」。師事したムント(Mundt)教授が主任の精神科には、急性期閉鎖病棟、治療病棟、神経症・うつ病を主とした開放病棟、精神療法病棟、母子病棟、青年期病棟、老年期病棟、デイケアなどがあり、横田さんは主として診療への陪席を許された客員医師の立場だった。
 統合失調症は、2002年8月からそれまでの病名である精神分裂病から改められた。多彩な症状が生じ、脳の神経伝達物質の過剰な働きによるという説がある。心理療法、運動療法、音楽療法、芸術療法などさまざまなアプローチがある。ドイツでもそうだった。
 横田さんは留学前から、臨床に携わりながら「臨床の不思議さや思いがけなさを見過ごさないように、精神科を訪れる人の自己調整と改善と回復を診ていく」と常々心がけてきた。「近代精神医学発祥の地で、精神医学のルーツに触れることが出来た」という留学体験から得たものは、「ドイツでも日本でも精神医学の基盤は同じだというのが実感だ」という。
 「症状は常に動いているものだ。どう捕らえるか」。臨床と研究に、日々新たな挑戦を続けている。

〈写真説明〉 
①語学学校の仲間たちと。(右から6番目の後ろが横田さん)
②ハイデルベルク大学病院構内で。
〈参考論文〉ドイツ留学の時間態とエピソード学.福岡行動医誌15.121-125,2008

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