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例)研究発表 生命科学科
[2009/02/09]
◇医学部風姿花伝シリーズ11 恒例の卒業祝賀会・「学士鍋」(豚汁会)の由来

 九大医学部の卒業生は例年、卒業式に引き続いて教授や先輩たちから豚汁を振る舞われる「学士鍋」という伝統行事に参加する。九大の前身である京都帝国大学福岡医科大学の第1回卒業生から続く、開学以来100年にもわたるユニークさである。
 明治40年12月12日に第1回卒業生(58人)を祝った模様が「福岡医科大学雑誌」の雑報に記録されている。再現してみよう。
 運動場に特設した式場で午前10時半から卒業式典。この後、卒業生は各自に一折の寿司が振る舞われて、法医学教室で宝探しの余興に参加した。「3時半から学士鍋の会食始まる」と記載されており、この時からすでに「学士鍋」と命名された宴席が用意された。式典会場そばに6個の大鍋が置かれて「煮えたぎる薩摩汁と冷の茶碗酒で」暖を取りながら、師弟歓談のひと時を過ごした。鍋の蓋に総長以下教授、卒業生が記念に署名した。
 この後がまたなんとも盛大である。卒業生は寄贈された白地にオリーブ線の博多織のバンド(たすき)をかけ、音楽隊を先頭にちょうちん行列。校門を出ると沿道両側に「祝大学卒業式」の行灯が掲げられ、市民の歓呼に迎えられながら東中洲の園遊会会場まで行進。市長らの大歓迎のもとで祝賀の宴(市主催)は夜10時過ぎまで続いたのだった。
 福岡市はこの日、市民に祝賀の国旗を掲げるよう呼びかけ、ある牛乳店は600人分の牛乳を差し入れた。熊本、長崎との誘致合戦を勝ち抜いて開学した医科大学―その最初の卒業生への地元市民の期待の大きさが分かろうというもの。
 「学士鍋」の伝統は、戦争やその他の事情から何度か中断しながらも、今日では医学部同窓会の主催で名物行事として受け継がれている。実質的な運営は1年後輩が取り仕切る。謝恩会とは違い、教授、先輩、父母たちが会費制で費用を負担して前途を祝う。かつては卒業後にどこの医局に入るか、この場を利用して盛んに引き抜き合戦をした時代もあったようだ。
 時代は移り、現在では卒業生の名前が所狭しと記されたバンドと、毎年新たに準備される鍋蓋に署名して後輩へ受け継ぐセレモニーが中心となった。けがを心配して重量のある大鍋は保管され、平成16年からは祝賀会場の医学部百年記念講堂に実物大の軽量模型(蓋径120cm、高さ90cm)が飾られるだけ。それでも料理の“メーンディッシュ・豚汁”が振る舞われるのは言うまでもない。

〈写真説明〉実物大の大鍋の模型と、卒業生が記名した鍋蓋。

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