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例)研究発表 生命科学科
[2009/01/15]
◇やあ やあ やあ <私の海外留学>中原 剛士さん 34(九大病院皮膚科助教)

  「日本に居ると、臨床をしながらの研究、その他やることが多くてなかなか一つのことに集中できない。向こうでは研究に専念できた上、好きなサッカーもやれたしメリハリのある生活だった」。
 アメリカ有数のがん研究施設「メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(Memorial Sloan-Kettering Cancer Center)」には、いくつかの建物群がある。中原さんのいたビルは、研究施設の中では世界一ノッポの23階建て。その14階の研究室からはマンハッタンを眺望できる素敵な環境だった。
 このセンターには免疫学、分子生物学など8つのリサーチプログラムがある。皮膚科の先輩である師井洋一准教授(皮膚科学)、内博史准教授(油症ダイオキシン研究活動センター)もここで学んだ。さらに免疫学だけでも14の専門研究室を抱える。中原さんが師事したアラン・ホートン(Alan Houghton)教授は、アメリカのメラノーマ(悪性黒色腫))研究における第一人者である。この病気は、“ホクロのがん”とも呼ばれる皮膚がんの一種で、九大病院では高度先進医療を行っている。
 中原さんの研究テーマは、「腫瘍免疫における樹状細胞の役割」。具体的には、「ある特定の抗がん剤(シクロホスファミド)を使うことで、免疫細胞にどのような影響を及ぼすか」。アラン教授の元には、皮膚科医だけでなく、外科、血液内科など他の専門研究者や生物学専攻者などが参画していた。中原さんにとって、こうした研究者と意見交換ができたことは大きなプラスとなった。日本では試験管の中だけでの研究(in vitro)が、マウスを使った研究(in vivo)を行うことが出来た。成果は「生体防御の役割をもつ樹状細胞が、より強力ながん治療のツールとなる」という一つの道筋を示すことができた。
 研究環境と大違いだったのは、古いアパート。水道が漏れて業者に修理を頼んでも約束の時間はおろか、指定日にさえ来ない。頼んだ配達物は日本のように機敏には届かない。初めは電話のやり取りが聞き取れず、あらかじめメモを用意しておき一気に読み上げることにした。「ここではこっちの伝えたいことを、まずしゃべるのが勝ちだ―」。2年5ヶ月間で、会話力は上達したが「語学力をもっと身につけてから行けば、日常生活を含めたいろんな体験が出来ただろう」と、それだけを残念に思う。
 仲間の研究者はアジア、ヨーロッパなど多くの国から来ている。帰国後、親しくなったイタリアの研究者2人が、福岡を訪れ中原さん宅に1週間ほど居候した。留学先での出会いが、お互いに次の研究や治療法開発へのステップアップに繋がる―中原さんはそんな確信を強くした。

〈写真説明〉ニューヨーク郊外の研究仲間の別荘で野外パーティー。(右から4人目が中原さん)

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