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例)研究発表 生命科学科
[2008/10/27]
◇医学部風姿花伝シリーズ10 100年の輝かしい伝統を守る「福岡医学雑誌」

 九大大学院医学研究院の学術雑誌に「福岡医学雑誌」がある。今年で第99巻になる。明治36年4月、九大の前身である京都帝国大学福岡医科大学が開設されて4年後の40年6月に、学友会雑誌部から発行された「福岡医科大学雑誌」を継承する。
 日本で初めて大学に耳鼻咽喉科教室を開設した久保猪之吉博士は、編集責任者として意欲的な創刊の辞を述べている。「研究および実験成績を報告し、各専門科の内外における新潮を総合報道し、(中略)名は学友会の雑誌なりといえども実は一種の大学紀要なり」。創刊号を見ると、解剖、生理、病理、内科、精神病など10学問分野の原著、臨床講義、抄録、雑纂といった豊富な研究発表に加え、学内の行事、学友会活動にいたるまで実に手厚い内容だ。
 明治44年に京都帝国大学福岡医科大学から「九州帝国大学医科大学」に、大正8年には「九州帝国大学医学部」へ変遷したが、「福岡医科大学雑誌」の名は継承された。大正9年3月の第13巻から純粋に医学専門の学術誌となる。同15年、学友会雑誌部から医学部の発行となり、医学部中心の福岡医学会が発足後の第33巻(昭和15年)からは、その機関雑誌として「福岡医学雑誌」に名称を変えた。戦争により一時中断し、22年4月から復刊している。第50巻(昭和40年)では、発表された論文は年間5399ページという活況ぶりであった。
 かつては、世界的な研究も多く発表された。ワイル氏病の病原体を世界で初めて発見した稲田龍吉博士が、その第一報を第54回九州帝国大学医科大学集談会(大正4年1月)で「ワイル氏病病原スピロヘ-タ(一新種)確定に関する予報」として発表した内容が、同医科大学雑誌第8巻4号(大正4年4月)に掲載されている。その論文発表は同年2月の東京医事新誌であったが、同8巻5号(同年6月)には原著「日本黄疸出血性スピロヘータ病(ワイル氏病等)の研究概要」も掲載されている。博士はこの研究で学士院賞を授与され、ノーベル賞候補にもなった。
 輝かしい実績の一方で、時代の趨勢から研究発表の場が多く国内外の専門雑誌に流れるのは否めない。そんな中で福岡医学雑誌は、基礎医学・臨床医学(社会医学、歯学、薬学を含む)、医療経営・管理学、看護学・保健学などに関する学内外の共同研究、診療報告など総合的な発表の場として伝統を守り継いでいる。編集幹事会メンバーを中心として編集委員も病院地区全部局の教員で構成され、また学内外からの査読協力を受けながら、一定水準を維持した形でローカル誌なりの情報発信媒体としての役割を果たしている。「福岡医学雑誌」はこれまでにも、120件の国内外の図書館への寄贈図書として頒布されていたが、平成19年1月号からは、九州大学附属図書館のリポジトリー(URL:http://www.lib.kyushu-u.ac.jp/)より、毎月の掲載内容が閲覧できるようになり、福岡医学会会員以外の読者への情報提供にも務めている。

〈写真説明〉・稲田博士がワイル氏病病原体発見の第一報を大学集談会で発表、その内容を掲載した福岡医科大学雑誌第8巻4号(黒枠の部分)。

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