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例)研究発表 生命科学科
[2007/12/17]
◇やあ やあ やあ 筒井 俊英さん 38(学習塾代表取締役)

 ――内科医から異色の転進。

 筒井さんが九大医学部に入学したのは、25歳だった。学部6年間と大学病院で1年間の内科医勤務。その直後に訪れた転機-。父が病に倒れ後を継いだのが、いまの学習塾経営である。
 高校からは建築家を夢見て東大工学部に現役合格したが、大学の後半は弁護士を目指して一時司法試験に熱中した。結局試験は断念して卒業後、大学の友人2人を誘って郷里福岡に帰り父の経営する塾を手伝う。当時、地方の塾に東大卒3人の講師は珍しかった。生徒たちのやる気を起こし、次々に目標を実現させる喜び。教えることがこんなにも新鮮で楽しいことだとは。その刺激が、自らにも新たな挑戦意欲を駆り立てた。それが医師への道だった。塾講師の傍らで、というハンディを克服し、医学部に一発で合格した。
 だが思いがけない暗転に、思い悩む日々。手にしたばかりの医師・研究者への夢を断念するのか。一方で現実の社会を見ると―。希望の学校に合格しながら、その後に挫折する子供たち、目標も無くフリーター生活に入る大卒者群。子供たちに生き甲斐を持たせ、自立した大人に育てたい。受験だけでなく教師と子供たちが“共感”し合えるような「心の教育」が求められている。それは医師が患者さんに接する関係と同じではあるまいか。もう転進に迷いは無かった。
 今の受験生の医学部人気を筒井さんはどう考える?
 「高額な収入、安定した職業、社会的ステータスなどを医師に期待する風潮が強い。競争が激しくなり受験生の偏差値は高くなった。すると成績の良い生徒の中には、優秀な医師になりたいという目標からではなく、偏差値の高い医学部に合格したんだという“勲章”欲しさのために受ける子も増えている。受験勉強一本やりの生活、それがバランス感覚を失った人間をつくってしまう」。
 加えてそんな医師が将来、医療過誤や患者さんとのトラブルに繋がらないことを、筒井さんはひたすら祈る。「職業は何であれ自立した社会人の育成が自分たちの使命。医学部に特化した塾教育なんてナンセンスだ」とおっしゃる。
 筒井さんは医学部時代、授業では「世界の最先端を行く教授の講義」が学べると、いつも最前列の机に座った。病院の1年間は想像以上に厳しい勤務だった。しかし新しい命を誕生させる産科、いつでも飛び出す救急医療、子供も苦しい小児がんと一緒に闘病を続ける小児科医。筒井さんも最も難しい治療のひとつ、白血病に取り組もうと血液内科を専門にした。いずれも今一番医師が不足する分野だが、きつい仕事だからこそ医師の美しさがあり、感動もうまれる。喜びに涙することもあった。
 「それらを感じ取れる医師になってほしい」と、後輩へのメッセージを語る筒井さん。今や2万人の塾生を預かる身だが「将来、“赤ひげ医師”のようにやってみたい」との夢は捨てていない。
 〈写 真〉算数・数学を担当する筒井さん。

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