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例)研究発表 生命科学科
[2007/08/14]
◇やあ やあ やあ 平野 将二さん 24 (医学研究院眼科博士課程)――3DCGを医学用コンテンツに

  「大学は新しい研究成果を社会に還元するところ」だという考え方だけではなく、逆に「社会や日常生活の中から生じる課題に対して、大学内の研究部門が有効に提携し合ってその結果を還元する」という新しい発想がある。九大ではこうした視点から、平成16年度にユーザーサイエンス機構(USI)を立ち上げて、全学挙げて取り組んでいる。
 平野さんが取り組む研究も、USIの発想である。もともとは九州芸術工科大学の画像設計学科に入学。映像世界の花形であるCG(コンピュータグラフィックス)を使って3次元の世界を描くメディアアートを学んだ。
 卒業作品では美容形成をテーマにして、「形成手術に伴う顔形状の変化」を3DCGで制作した。二重まぶた、鼻筋を通す、唇を厚くしたり薄くしたりと、個々の形状変化や組み合わせた全体の顔表現など、ユーザーは自分流にシュミレーションすることで好みの整形方法を選択できる。
 平野さんがかねてから頭に描いていたのは、3DCGの医療面での活用法。「医療従事者と患者さん側とのコミュニケーション不足や、インフォームド・コンセントが強く求められるのは、病気や体についての理解度の違いが大きいからだ。その解決法の一つとして3DCG技術を生かせるのではないか」。
 九州芸工大は平成15年に九大と合併したため、九大の芸術工学部の卒業となった平野さんは、引き続き九大芸術工学大学院に進み、インフォームド・コンセントや医学生向けのコンテンツとして眼球の3DCG化をテーマにした。
 ところが医学には全くの素人。医学部学生に混じって講義を受けたり、医学研究院の眼科教官に指導を仰いだ。自らをモデルに眼球や頭部を検査・測定して画像や映像に取り込んだ。眼球構造モデルや目の疾患症状の部位などを3次元デジタイザで正確に表現し、動画をからめて分かりやすく工夫した。通常は見えない眼球内部をリアリティに表現することが出来た。眼の疾患のうち加齢黄斑変性と糖尿病網膜症については、眼科の教官も「学生用教材として活用できる」と評価するほどの出来栄えだ。
 この修士課程2年間の研究は、国際的なデジタルコンテンツの製作者を育成するために九大芸術工学研究院が創設した「先導的デジタルコンテンツ創成支援ユニット」(ADCDU、 代表・源田悦夫教授)の研究の一つとして、学内外に注目された。
 まだまだ眼だけでも多くの疾患がある。さらに専門的な医学知識を学んだ上で「眼球だけでなく個別の臓器や脳などについても取り組みたい」という平野さん。今年4月から今度は医学研究院の博士課程に転進した。
 指導に当たる石橋達朗教授は「人体ではMRIなどで立体的に捉えられるが、小さな眼球は無理だった。将来は撮影した患者さんの診断写真がすぐに立体構造化されて、患者さんが自分の眼の病気をビジュアルに理解しやすくなるかもしれない」と期待する。
メモ
 九州大学ユーザーサイエンス機構(User Science Institute 略称USI):平成16年度文部科学省科学振興調整費「戦略的研究拠点育成プログラム」に採択され、九州大学の全学機構として設立された。
先導的デジタルコンテンツ創成支援ユニット(ADCDU):平成17年度総合科学技術会議の科学振興調整費による新興分野人材育成事業に採択された。
〈写真説明〉制作した平野さんと加齢黄斑変性のモデル作品。

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