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例)研究発表 生命科学科
[2011/02/28]
[発表論文] Controversies in the management of pancreatic IPMN
Controversies in the management of pancreatic IPMN
Masao Tanaka
Nat. Rev. Gastroenterol. Hepatol. 2011: 8, 56–60

 膵臓にはさまざまなのう胞性(袋状)の腫瘍ができ、良性のことが多いが悪性のこともあり、良性でも悪性に変わっていくものがあることから治療方針の決定が困難なことが多い。その代表例が膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と粘液性のう胞腫瘍(MCN)である。このふたつはよく似ていることがあって区別が難しい場合がある。IPMNは主膵管型と分枝型に分類されるが、とくに分枝型は他ののう胞との鑑別診断や治療方針の立て方に困難が多い。臨床・腫瘍外科分野の田中雅夫教授は、とくに膵癌とのう胞性膵腫瘍の診療と研究に勢力を注いでいて、2006年には国際チームを率いて IPMNとMCNの国際診療ガイドラインをまとめた(図1)。ガイドラインは診療をかなり前進させ、残された問題点も明確になってきた。この総説は、とくに分枝型IPMN(図2)の診断と治療について、現時点での問題点を整理したものである。
 まず、分枝型と主膵管型の分類のためにさらに明確な基準が必要である。次にその中間に位置する混合型と言われるタイプの診断を画像診断学的にするのか病理学的的にするのかをはっきりさせないといけない。粘液を有するのう胞性腫瘍は前癌病変で切除が必要であるから、分枝型IPMNを他の非粘液性のう胞と鑑別するより確実な方法が必要である。この点で、超音波内視鏡下ののう胞穿刺による内容液の分析は意義深いと思われるが、その安全性をよく検討する必要がある。壁在結節の存在は最も確かな悪性の指標であるが、IPMNのサイズが指標になるかどうかはまだ議論の予知がある。2006年のガイドラインでは3cmがその指標とされそれ以上のものは切除すべきとされたが、切除後の病理学的検討で8割以上が良性であったという事実に鑑みるとIPMNの組織学的亜型を含むもっと確かな悪性指標が必要である。分枝型IPMNは、悪性化、別の膵癌発生、切除後のIPMNの再発といった三つの意味で慎重な追跡検査を要し、検査間隔を半年以上あけないことが望ましいようである。


≪図1≫ IPMNとMCNの国際診療ガイドライン ≪図2≫ 分枝型IPMNのMRCP

Masao Tanaka- 田中 雅夫
   九州大学医学研究院臨床医学部門臨床・腫瘍外科学分野 教授

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