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例)研究発表 生命科学科
[2008/04/18]
◇膵臓手術の高度先進医療に積極的に取り組む九大病院。

保険診療が一部認められる高度先進医療。術後の痛みが少なく回復も早い内視鏡手術。九大病院第1外科(田中雅夫教授)は、全国で初めて膵(すい)臓移植の高度先進医療を始めた(2005年10月18日掲載)が、さらに内視鏡を使った「腹腔鏡下膵体尾部切除手術」など、膵臓手術の高度先進医療と積極的に取り組んでいる。
 膵臓は、糖・蛋白質・脂肪などを分解する消化酵素と、血糖値を調整するインスリンを分泌する大変重要な器官だ。ところが胃の裏側に隠れ、頭部は十二指腸に尾部は脾臓にくっつき、周囲にはたくさんの重要な血管が取り巻く。膵液は“化学薬品”といわれるほど何でも溶かしてしまうから、傷つけて膵管から漏れると生命にかかわる。膵臓の手術は実にやっかいだ。
「超音波で切開箇所を固める装置が開発されて、腹腔鏡下手術もやりやすくなった」(田中教授)。膵臓の病変は多くの場合に自覚症状が無く、他のCT検査などで見つかる。A子さんの場合もそうで、膵臓内に大きな粘液性嚢胞腫瘍(写真)を見つけた。放置するとがん化する心配がある。ナスのような形の膵臓は、頭部、体部、尾部という見方をされる。粘液で膨らんだA子さんの腫瘍は、腹腔鏡下で膵臓の半分(体部と尾部)と一緒に切除された。通常なら膵臓の尾部とくっついた脾臓とを一緒に切除するが、田中教授は腹腔鏡下で脾臓部分を残す方法に成功している(参考論文)。
 B子さんの場合は、膵臓の外に突出する格好で20センチ以上もの腫瘍ができた。充実性偽乳頭状腫瘍(写真)と診断、その大きさに執刀した田中教授も驚いたが、やはり腹腔鏡下手術を行い腫瘍部分だけを核出術で取り除くことができた。
 インスリンが過剰に分泌されて低血糖に陥るインスリノーマという病気がある。痙攣や意識不明、脳障害を起こし死に至ることもある。インスリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島細胞にできた腫瘍が犯人だ。これも膵臓の前方にあれば腹腔鏡で腫瘍だけを切除すればいいし、膵臓に埋もれていれば膵切除が必要だが多くの場合は腹腔鏡でできる。
 膵臓移植は全国でこれまで42例あるが、九大病院では最多の17例を行っている。また腹腔鏡下の膵臓手術は、同病院で平成18年2月の高度先進医療認定後、膵体尾部切除27例など44例の実績を持っている。
〈写真説明〉いずれもCT画像による。矢印部分(丸く黒い部分)を切除した。
〈参考論文〉Shimizu S, Tanaka M, Konomi H, Tamura T, Mizumoto K, Yamaguchi K . Spleen-preserving laparoscopic distal pancreatectomy after division of the splenic vessels Journal of Laparoendoscopic and Advanced Surgical Techniques. 2004; 14(3):173-177

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