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例)研究発表 生命科学科
[2008/04/18]
◇油症は妊婦さんに、早産や流産などの合併症を与えていた。

食用油に含まれたPCBを摂取したために、皮膚、神経、関節、呼吸器などにさまざまな症状を引き起こしたカネミ油症。1968年の発生から40年、今なお治療法が見つからない。国の全国油症治療研究班(班長・古江増隆九大教授)の最新の研究で、妊婦の油症患者さんの場合に、早産や流産などの割合が正常より極めて高かったことも分かった。
 これは2004年に、油症患者の妊娠経験者602人に聞き取り調査し、回答のあった287人について分析した。妊娠した時期が①1968年の油症発生前10年間内②発生直後から10年以内③発生後10-20年間④発生後20-30年間という4つの期間に分類してアンケート調査をした。
 それによると、発生が公になった直後から10年以内に妊娠した場合は、発生前と比較すると早産は5.7倍、胎児死亡は2.11倍、自然流産は2.09倍も高かった。また、発生から10年以上経った場合には、発生前と比べて大きな差は無かった。最近の研究でカネミ油症の原因は、PCBよりもPCBの加熱によって生じるダイオキシンの一種・PCDFの毒性の方が強いと分かってきた。そこで妊娠時期におけるダイオキシンの血中濃度との関連を見ると、やはり発生後10年以内の妊娠では高く、早産などの発生比率と符合していた。
 この分析結果について同研究班員の月森清巳講師(九大病院周産母子センター)は「ダイオキシンには、妊娠の維持に欠かせない女性ホルモンのエストロゲンの働きに拮抗する作用がある。また動物実験によって、PCBは子宮筋の収縮を起こすプロスタグランジンという生理活性物質の発現量を増やすことが分かっている。これらが要因と思われる」という。

〈参考論文〉Tsukimori K, Tokunaga S, Shibata S, Uenotsuchi T, Nakayama D, Ishimaru T, Nakano H, Wake N, Yoshimura T, Furue M. Long-Term Effects of Polychlorinated Biphenyls and Dioxins on Pregnancy Outcomes in Women Affected by the Yusho Incident : Environmental Health Perspectives doi:10.1289/ehp.10686 (available at http://dx.doi.org/) Online 6 February 2008

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