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[2015/09/18]
Wide-field Ca2+ imaging reveals visually evoked activity in the retrosplenial area
Wide-field Ca2+ imaging reveals visually evoked activity in the retrosplenial area
 
広域カルシウムイメージングを用いて、マウスの脳梁膨大後部皮質が視覚応答を示すことを発見

   

Tomonari Murakami、Takashi Yoshida、Teppei Matsui、Kenichi Ohki
村上 知成、吉田 盛史、松井 鉄平、大木 研一


Frontiers in Molecular Neuroscience


  

  私たちの脳は、外界からの様々な情報を処理しています。視覚や聴覚など特定の感覚の情報処理にどの領野が関わっているのかを同定すること(機能マッピング)は、脳機能を解明するために非常に重要です。
  近年、遺伝学的手法の発展からマウスを用いた脳研究の重要性が増しています。そのためマウスにおける機能マッピングは、神経科学において重要な課題となっています。しかしマウスの脳は非常に小さいため、ヒトにおける機能マッピングで用いられている機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を適用することは困難でした。今回私たちは、大脳皮質の興奮性細胞にカルシウム感受性タンパク質(GCaMP3)を遺伝的に発現している遺伝子改変マウスと、広域蛍光顕微鏡を用いて、脳半球全体を含む広範囲で広域カルシウムイメージングによる機能マッピングを行い、視覚刺激に対して応答を示す領野を調べました。
  その結果、視覚刺激に対して、一次視覚野、二次視覚野だけではなく、さらに高次の領野と考えられる脳梁膨大後部皮質と前帯状皮質が視覚応答を示すことを発見しました。これらの領野は、幅が狭くてゆっくりと動く縞模様に対して強く反応することがわかりました。さらに、細胞レペルの活動を観察することのできる二光子カルシウムイメージングを用いて、脳梁膨大後部皮質の神経細胞の活動を調べたところ、特定の傾きを持つ縞模様に対して選択的に反応する、方位選択性と呼ばれる性質を持っていることを発見しました。
  これらの結果から、脳梁膨大後部皮質の神経細胞は視覚情報の中でも、物の形のような空間的に細かい情報を表現していることが示唆されました。この領野は空間的な場所のナビゲーションに役立っていると考えられているため、空間的に細かい情報をナビゲーションに役立てているのではないかと考えられます。
  また、この実験を通して、広域カルシウムイメージングを用いた脳の機能マッピングが、脳機能を解明するために非常に有用であることが示されました。
  本研究成果は、2015年6月8日に公開されました。
  
  



(Figure modified from Murakami et al., 2015, Frontiers in Molecular Neuroscience)

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