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例)研究発表 生命科学科
[2008/01/29]
◇世界で初めて先天性免疫不全症(IRAK4欠損症)の迅速診断方法を開発。

 先天的な免疫不全症とされる病気は約150種類もある。本来あるべき免疫が無いためにいろんな細菌やウイルスに感染して病気になる。
 IRAK4欠損症もその一つで、2003年に海外で初めて報告された新しい遺伝性疾患である。生まれながらに備わるはずの免疫が、IRAK4という遺伝子が欠損しているために出来ない。このために肺炎球菌や黄色ぶどう球菌などの細菌に対して、感染を繰り返しては死に至ることがある。まだ日本では見つかっていなかった。
 医学研究院の原寿郎教授(小児科学)らは、2回肺炎球菌髄膜炎に罹患した幼児の原因を調べた。幼児は生後2週目で臍の部分に炎症が起き、1歳を過ぎて股関節炎や肺炎球菌髄膜炎、さらに約1年後にも同髄膜炎を繰り返していた。他の病院で種々の免疫検査をされたが異常が見つからなかった。病状からみてIRAK4欠損症を疑い、遺伝子解析で確定した。正常な場合には免疫反応を働かせるために産生される情報伝達物質が、IRAK4が欠損しているために、産生されていないことが分かった。これを利用して、研究グループは白血球の中の単球を使うことにより、約4時間で迅速に診断する方法にも世界で初めて成功した。
 さらに海外との共同研究で、IRAK4欠損症の臨床的特徴を明らかにした(J Exp Med 2007)。原教授は「IRAK4の欠損状態を、乳児期早期に発見できれば、ガンマグロブリンや抗生物質の投与、ワクチンなどで重症感染の予防が可能かもしれない」という。これまで日本で髄膜炎と診断されて亡くなった中にも、同じような患者さんの存在も考えられ、早期診断の必要を呼びかけている。

〈グラフ説明〉TNF-α:白血球の中の単球が産生するサイトカイン(情報伝達物質)の1つ。LPS:単球を活性化する物質。CD-14:単球のマーカー。
単球をLPSで刺激した場合(LPS+)に、健常者では99.4%の細胞がTNF-αを産生したが、IRAK4欠損者は3.94%しか産生しなかった。
〈参考論文〉
Takada H, Yoshikawa H, Imaizumi M, Kitamura T, Takeyama J, Kumaki S, Nomura A, Hara T. Delayed separation of the umbilical cord in two siblings with Interleukin-1 receptor-associated kinase 4 deficiency: rapid screening by flow cytometer. J Pediatr. 2006;148:546-8.

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