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例)研究発表 生命科学科
[2016/06/22]
日本学術振興会「平成28年度科学研究費助成事業(基盤研究(S) )」の採択について 病態修復内科学分野 赤司浩一教授

この度、医学研究院の教授を研究代表とする「科学研究費助成事業(基盤研究(S) )」が採択されました。概略は下記の通りです。


研究課題名: 全てのヒト骨髄性腫瘍が依存する、新規がん幹細胞維持機構の解明
   
研究代表者: 赤司 浩一 (九州大学医学研究院 病態修復内科学分野 教授)
     [九州大学研究者情報]
概   要  
  白血病は、腫瘍化した異常血液細胞が無制限に増殖する病気で、その結果、正常造血が破綻し貧血、血小板減少、感染症等により死に至ります。一部の白血病症例は化学療法や造血幹細胞移植術により治癒しますが、約半数の症例は難治性です。このような難治例を根治せしめるために注目されているのが白血病幹細胞という治療標的です。白血病には「白血病幹細胞(leukemic stem cell)」というその源となる細胞があることが証明されており、白血病幹細胞を根絶すれば、白血病は再発しないと考えられます。我々は、これまでにヒト骨髄系白血病幹細胞が特異的に持つタンパクとしてTIM-3を同定しました。TIM-3は、正常造血幹細胞には発現していないため、TIM-3を標的とした抗体療法を開発し、その治療実験を成功させました (1)。さらに我々は、TIM-3が白血病幹細胞の維持に必須の機能を持つこと、すなわち、白血病幹細胞自身がTIM-3のリガンドであるgalectin-9というタンパクを分泌し、恒常的にTIM-3シグナルを生じさせ、そのシグナルが増殖や自己複製能力を強化していることを明らかにしました。また、すべてのヒトの骨髄系腫瘍幹細胞においてTIM-3シグナルが働いていることも証明しました (2)。
  白血病幹細胞のもう一つの重要な能力として、「動的」な性質のみならず、治療中あるいは寛解時に細胞周期を静止期に保ち、潜伏する「静的」な性質も知られています。我々は、TIM-3に加えて新規の白血病幹細胞特異的な分子をいくつか同定しており、このような分子群からのシグナルが「静的」な白血病幹細胞の機能制御に関与していると仮説をたてています(図1)。本研究課題では、これらの分子の機能を解析することにより、骨髄性白血病幹細胞における動的シグナルと静的シグナルを使い分けとその生存戦略を明らかにし、白血病幹細胞を根絶する新規治療法の開発基盤を整えます。
 

参考文献

 1. Kikushige, Y., Shima, T., Takayanagi, S., Urata, S., Miyamoto, T., Iwasaki, H., Takenaka, K., Teshima, T., Tanaka, T., Inagaki, Y. & Akashi, K. (2010) TIM-3 is a promising target to selectively kill acute myeloid leukemia stem cells. Cell Stem Cell, 7, 708-717.

 2. Kikushige Y., Miyamoto T., Yuda J., Tabrizi S.-J., Shima T., Takayanagi S., Niiro H., Yurino A., Miyawaki K., Takenaka K., Iwasaki H. & Akashi K. (2015) A TIM-3/Gal-9 autocrine stimulatory loop drives self-renewal of human myeloid leukemia stem cells and leukemic progression, Cell Stem Cell 17,341-52

■ 大型研究費獲得情報 (平成28年6月更新) ※申告に基づき作成しています。

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