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セミナー第13回応用幹細胞医科学部門セミナー【生理学研究所 小林先生】

  • [開催日時]2017年10月18日(水)18:00-19:00
  • [開催場所]総合研究棟2F ITルーム
  • [対象]どなたでも参加可能です
備考・問合せ先
生理学研究所の小林俊寛博士をお招きしてセミナーを開催したいと思います。

小林博士は、発生工学的な手法を用いて様々な革新的な仕事を行ってきました。今回は、最近発表された霊長類およびブタの生殖細胞分化研究を中心に話題を提供してもらいます。

どうぞよろしくお願い致します。

【第13回応用幹細胞医科学部門セミナー】

日時:2017年10月18日(水)18:00-19:00
場所:総合研究棟2F ITルーム
対象:どなたでも参加可能です

演者:小林俊寛 博士(生理学研究所遺伝子改変動物作製室 助教)

講演タイトル:ヒト初期発生とその過程における生殖細胞の発生機構解明に向けたアプローチ

要旨:
精子・卵子などの生殖細胞は、身体を構成するその他の体細胞とは異なり、次世代に遺伝情報を伝えることのできる唯一の細胞種である。全ての生殖細胞は発生過程の初期に生じるごく少数の始原生殖細胞 (Primordial germ cell: PGC) を起源とし、その分化・発生過程は、ダイナミックなエピゲノムの変化や、性決定など、非常にユニークなイベントを伴う。また哺乳類において PGC は、未分化なエピブラストから最も早く分化して生じる細胞の一つであり、結果的にその分化過程は、生殖細胞か体細胞、どちらの運命を選ぶかの大きな岐路となる。そのため、その運命決定機構とそれに関わる分子の同定が遺伝子改変マウスを使って盛んに進められてきた。一方、ヒトでは、その時期の胚を用いた解析が実質的に困難であるため、その発生機構は長らく謎に包まれてきた。またマウスは有用なモデル動物であるが、初期胚の発生様式がヒトをはじめとした齧歯類以外の種と大きく異なること、そして、近年、PGC の分化に必要な転写因子群がヒトと異なることが明らかにされたことから、その解明には新たなアプローチが必要かもしれない。
そこで我々は、ヒト初期発生およびその過程における PGC の発生機構を明らかにするため、ヒト胚の代わりにブタの胚を用いた解析と、ヒト ES 細胞を用いた in vitro 分化誘導系を組み合わせることで、そのメカニズムを紐解いていくことにした。その結果、我々は、1) ブタ初期発生における PGC が出現するタイミングと場所、そしてそのヒトとの類似性、2) 1) の発生および細胞の分化段階をヒト、サル の ES 細胞を用いて再現した in vitro モデルの構築、3) ヒト PGC 分化に中心的な役割を担う転写因子 SOX17 と BLIMP1 の機能、の 3 点を明らかにした。これらの知見は、これまで謎に包まれていたヒト初期発生、とくに PGC 発生機構の理解につながると思われる。またここで用いた、ブタなどのヒト初期発生モデルとなる動物胚の解析と、ヒト ES 細胞を用いた in vitro モデルという二つを併せたアプローチが、PGC に限らず、ヒト初期発生における細胞の運命決定機構を解明するために有用な手段となることが期待される。

参考論文

Kobayashi T, et al. Principles of early human development and germ cell program from conserved model systems.Nature.2017 546 (7658):416-420.
Tang WW, Kobayashi T, et al. Specification and epigenetic programming of the human germ line.Nat Rev Genet. 2016 17(10): 585-600 Kobayashi T, et al. Generation of rat pancreas in mouse by interspecific blastocyst injection of pluripotent stem cells. Cell 2010 142(5):787-99


林克彦
九州大学大学院医学研究院
応用幹細胞医科学講座
ヒトゲノム幹細胞医学分野


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