High affinity FLAG Ab 2H8-高親和性FLAG抗体2H8

 

(図2)FACSでの2H8の有用性-2

アミノ末端にFLAG配列を付加した様々なGPCRを安定発現させた細胞を1 µg/mlの抗FLAG抗体(2H8,  M5)と、Alexa488-抗マウスIgGで染色しました。CysLT1やS1P1受容体の様に、高発現しにくい受容体はM5抗体では認識できていませんが、2H8抗体では大きなシフトが観察できています。

 

For foreign visitors: please download our resent publication in Anal Biochem for detail. This Ab is now available through various agencies including Cosmo Bio and Gentaur Molecular Products as an Anti DYKDDDDK Monoclonal Antibody. Although we recommend you to get this Ab through any agencies,  if you need hybridoma cells or large batches of Ab for certain purposes, please make a contact with Prof. Yokomizo.


(In Japanese)

私たちの研究室で樹立したマウス高親和性抗FLAG抗体(単クローン抗体、クローン名2H8)の御紹介です。広く使用されているM2, M5よりも一桁以上感度が高いため、抗体濃度を下げることが可能です。そのため、これまでのFLAG抗体で問題となっていたバックグラウンドを低く抑えた解析が可能になりました。また従来は困難であったFLAG付加タンパク質の組織染色が可能になっています。我々自身の手では行っておりませんが、FLAGタグした転写因子のChIPアッセイでも極めて有効だということです。


開発の経緯など

私たちはあるGPCRに対する単クローン抗体を作成する目的で、FLAG配列(DYKDDDDK)をアミノ末端に融合したGPCRの過剰発現細胞を作成し、これを抗原としてBALB/cマウスを免疫して多数の単クローン抗体を作成しました。そのうち一つ(2H8)が、目的のGPCRではなく、アミノ末端のFLAG配列を認識する抗体であることを見いだしました。本抗体はタンパク質のアミノ末端に付加されたFLAG配列だけを認識します。従って、認識配列はMDYKDDDDKであると考えられます。FACS、免疫染色、Western blottingのいずれにおいても、既存のM2, M5抗体よりも強いシグナルを低バックグラウンドで得ることが可能です。IsotypeはマウスIgG2aです。これを認識する2次抗体であれば何でも使用できますが、我々はFACS解析ではAlexa488 goat anti-mouse IgG (Molecular Probe社、A-11001)Western blottingではHRP-anti-mouse IgG (GE Healthcare, #NA931)を二次抗体として用いることで良好な結果を得ています。市販されているM2やM5などの抗FLAG抗体は、特に免疫染色で核に非特異的な染色が出ることがわかっていますが、2H8抗体は私たちが使用しているHEK293やCHO細胞においては非特異的な染色を示しません。これまで数名の先生方に使用して頂き大変高い評価を頂いていますが、抗体を精製してお送りする手間が大変なので、トランスジェニック社から販売して頂いています。(5 µg, 200 µg, 1000 µg)。もし大量に必要な先生がおられましたら直接横溝までご連絡下さい。なお、本抗体は東京大学医学研究科清水孝雄研究室の修士課程大学院生であった故・加藤晴康君が樹立した単クローン抗体です。加藤君はこの抗体の樹立直後に心臓発作で急逝されました。その後、我々は詳細に2H8抗体の特性を調べ、この度、論文として発表することができました。加藤君の冥福を祈りつつ、この抗体が末永く、世界中の研究者のお役にたつことを願ってやみません。


(2011/11/22追加)本抗体は3x FLAGは認識しません。

汎用されている3x FLAGの配列は、MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKです。詳細な検討は行っていませんが、上記から考えて、本抗体は3x FLAGを認識しない可能性が高いと思われます。

(2012/3/30追加)本抗体樹立の論文がAnal Biochem誌に掲載されました。

http://dx.doi.org/10.1016/j.ab.2012.03.014

 

(図1)FACSでの2H8の有用性-1

アミノ末端にFLAG配列を付加したGPCR(マウスBLT1)を安定発現させたCHO細胞を1 µg/mlの抗FLAG抗体(2H8, M2, M5)と、Alexa488-抗マウスIgGで染色しました。M2やM5と比較して一桁以上明るい蛍光が観察できています。

(図3)FACSでの2H8の有用性-3

2の実験を一次抗体の濃度を変化させて行った実験です。S1P1やCysLT1では実に20倍以上の強度の蛍光が観察できています。

(図4)GPCRの免疫沈降

FLAGを付加したGタンパク質共役型受容体(A: BLT1, B: スフィンゴシン1-リン酸受容体S1P1)を発現させた細胞溶解液を、2H8、市販のM2で免疫沈降し、それぞれの受容体に対するペプチド抗体でウェスタンブロッティングしました。M2抗体ではほとんど免疫沈降物が観察されませんが、2H8では効率よく免疫沈降できています。

(図5)細胞免疫染色

細胞質の酵素PGR(プロスタグランジン脱水素酵素)のアミノ末端にFLAG配列を付加し、CHO細胞に安定発現させた細胞を染色し、共焦点顕微鏡で観察しました。一次抗体、二次抗体共に1 µg/mlで使用しています。M2,M5よりもはるかに明るい像が得られています。

(図6)マウス組織の免疫染色

従来のFLAG抗体の最大の問題点は、組織染色に使えないことでした。左図は、GPCRであるBLT2にFLAGタグを付加し、過剰発現(トランスジェニック)したマウス腸管の免疫染色です。M2やM5では検出できないFLAG-BLT2が、2H8によって見事に検出できています。