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バイオニック研究室

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主要なテーマと関連論文


  1. 経神経的な循環器疾患の治療
  2. 生体の詳細な数値モデル:デジタルメディシン
  3. 究極の医療:自動的な診断治療

3. 究極の医療:自動的な診断治療

自動治療の基本戦略
病態と戦う:非代償性左心不全治療支援システム(オートパイロット)バイオニック心臓病学が有効な病態として急性左心不全の治療がある。急性左心不全の治療には専門的な知識が必須であるが、病態が明らかになると治療の自動化ができる可能性がある。専門医は血行動態が不安定な症例では動脈カテーテルやスワンガンツカテーテルを留置し、動脈圧、心拍出量、右房圧、左房圧等をモニタする。これらの情報から低血圧や低心拍出量の原因が何なのかを診断し、必要な治療を行う。すなわち、専門医は計測された情報を循環生理学に基づき解釈することで、病態を正確に把握する。この判断に基づき治療手段(薬剤)を選択し、治療を開始する。当然、治療効果に応じて治療内容も時々刻々と変化していく。
 
この専門医の診断・治療のプロセスを自動化することができれば、自動治療の可能性がでてくる。その際、最も重要なのは循環を表す生体モデルの確立である。あまり複雑だとモデルのパラメタを計測値で確定することができない。あまり簡単だと病態診断に役に立たなくなる。そこで我々はガイトンの循環モデルを拡張し、左心不全も的確に評価できる拡張ガイトンモデルを開発した。
自動治療のブロックダイアグラム
制御のブロックダイアグラム図に拡張ガイトンモデルを用いた、急性左心不全の循環不全を自動的に治療するシステムの概略を示す。患者から血行動態情報を取得し、その情報を拡張ガイトンモデルに入れる。拡張ガイトンモデルを用いてポンプ機能SL、動脈抵抗R、有効血液量Vの何に問題があるのかを評価する。その結果に基づき、ポンプ機能であればドブタミンDOB、血管抵抗であればニトロプルシドSNP、有効血液量であれば輸液DXTや利尿剤を投与し治療を行う。血行動態は連続的にフィードバックされ、自動的に治療が行われていく。
自動治療の結果
オートパイロット治療図にイヌの急性左心不全に対する自動治療システムの性能を示す。左心不全は心筋梗塞で作成する。心筋梗塞の作成に伴い、血圧は 20 mmHg程度低下、心拍出量は 40ml/kg/min 程度低下、左房圧は12 mmHg 程度増加している。すなわち、低血圧、低心拍出量および肺うっ血の状態にある。そこで自動治療を開始すると、システムはドブタミン、ニトロプルシドおよびデキストランを同時に投与し、およそ 10 分ほどでポンプ機能、血管抵抗、有効血液量を正常化する。その結果、血行動態も正常化する。人が行うと、いくら慣れていても複数の治療薬の投与を同時に開始することは容易ではない。しかしながら、適切な病態モデルがあると、このような効率のよい治療が可能になる。
 
このようなシステムが有効に機能したことは、急性左心不全に対して自動治療ができることを示しているが、実用化に向けて多くの問題を克服する必要がある。とりわけ信頼性の高い生態情報の取得方法の開発は急務である。特に、血圧測定や心拍出量測定にはノイズが乗りやすいことから、これらの基本情報の安定した記録が極めて重要になる。これらの問題が克服された暁には、病態生理が確立された疾患に対しては自動治療の可能性が開けてくる。
関連業績
  1. Uemura K, Kamiya A, Hidaka I, Kawada T, Shimizu S, Shishido T, Yoshizawa M, Sugimachi M, Sunagawa K. Automated drug delivery system to control systemic arterial pressure, cardiac output, and left heart filling pressure in acute decompensated heart failure. J Appl Physiol 100: 1278-1286, 2006.
  2. Uemura K, Kawada T, Kamiya A, Aiba T, Hidaka I, Sunagawa K, Sugimachi M. Prediction of circulatory equilibrium in response to changes in stressed blood volume. Am J Physiol Heart Circ Physiol 289: H301-H307, 2005.
  3. Kashihara K, Kawada T, Uemura K, Sugimachi M, Sunagawa K. Adaptive predictive control of arterial blood pressure based on a neural network during acute hypotension. Ann Biomed Eng 32: 1365-1383, 2004.
  4. Uemura K, Sugimachi M, Kawada T, Kamiya A, Jin Y, Kashihara K, Sunagawa K. A novel framework of circulatory equilibrium. Am J Physiol Heart Circ Physiol 286: H2376-2385, 2004.

  1. 経神経的な循環器疾患の治療
  2. 生体の詳細な数値モデル:デジタルメディシン
  3. 究極の医療:自動的な診断治療

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