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教室について

血管分子病態医学・トランスレーショナルリサーチ研究室

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研究概要


江頭 健輔の研究教育歴プロフィール

昭和56年九大医学部卒業、昭和58年九州大学医学部研究生として冠動脈攣縮の病態生理に関する研究(冠動脈攣縮は実験的動脈硬化病変の成立と密接に関連して生じる)に従事し昭和63年学位取得(医学博士)。昭和63年米国ハーバード大学医学部Beth Israel病院 循環器内科研究員としてNIHのプログラムプロジェクトグラントの1分野をメンバーとして担当。平成2年から九州大学医学部循環器内科助手、講師。狭心症など動脈硬化性疾患における内皮機能の役割を世界で初めて解明し、医学研究教育に大きく貢献。動脈硬化の分子機序における炎症が鍵の役割を果たすことを明らかにし、その成果を基盤として独自の遺伝子治療法を創案したことから学会賞(循環器学会、遺伝子治療学会)ならびに褒章(文部科学大臣表彰科学技術賞)受賞。平成17年九州大学大学院医学研究院循環器内科学准教授に就任。独自の画期的ナノ医療を創製し、基礎研究成果の臨床応用(トランスレーショナルリサーチ)を推進している。

これまでの研究成果の概要

虚血性心疾患の分子機序における血管内皮障害の役割に解明に関する基礎・臨床研究

ミニブタ冠攣縮モデルならびに冠動脈攣縮性狭心症患者において、攣縮の成立おける内皮細胞障害の役割を解明した(日本循環器学会YIA優秀賞、 J Clin Invest)。狭心症の原因に内皮機能障害が関与すること、その原因に冠危険因子が関与することを世界で初めて明らかにした(日本動脈硬化学会YIA最優秀賞、N Engl J Med、J Clin Invest、Lancet、Circulation)。さらに、スタチンを用いたコレステロール低下療法によって冠動脈内皮細胞機能障害が改善することを世界で初めて明らかにした(日本循環器学会CPIS賞、Circulation)。これらの業績は、「内皮細胞の役割」解明に大きく貢献し、世界的に評価された。

冠動脈攣縮性狭心症の分子機序における細胞内カルシウム動態の役割の解明

ハーバード大学医学部循環器内科研究員としてNIHのプログラムプロジェクトの1分野を担当し、血管攣縮の原因に細胞内カルシウム増加が必須であることを明らかにした(J Clin Invest 2報)。

動脈硬化性疾患の分子機序解明に基づく独創的遺伝子治療・細胞療法の創製

動脈硬化性疾患の分子機序においてmonocyte chemo- attractant protein-1:MCP-1が鍵となる因子であることを明らかにし(J Clin Invest、Circulationなど)、新しい抗MCP-1遺伝子治療法を独自に開発した。閉塞性動脈硬化症に対する末梢血内皮前駆細胞療法を世界で最初に実施し、その有用性を明らかにした(Lancet)。一連の研究成果は国内外で大きく取り上げられ、学会賞(循環器学会、遺伝子治療学会)、ならびに褒章(文部科学大臣科学技術賞)を受賞した。

九大独自の先端技術(医工学、ナノテクノロジー)融合による先端ナノ医療の創製

イノベーションをもたらす先端技術融合を基盤研究として、画期的ナノ医療の創製に成功し、臨床応用を目指している。この成果はプレスリリースされ産業界からも大きく注目を浴び医療機器企業との実用化事業に結びついている。この産学連携によって低侵襲医療をもたらす世界標準の治療用デバイス(生体完全吸収性ナノテクDDS制御ステント)や革新的ナノ治療(ナノ粒子DDSによる動脈硬化性疾患に対する分子標的治療・治療的血管新生療法、吸入ナノDDSによる難治性肺疾患のナノ治療など)の基盤が整った。得られた成果の臨床応用を行うことを最優先の目標とし、知的財産部や高度先端医療センターと協力してトランスレーショナルリサーチ(臨床への橋渡し研究)を推進している。

これまでの研究成果の概要

基礎研究成果の臨床応用我が国は未曾有の高齢化社会を迎えて、生活習慣や加齢を基盤として発症する動脈硬化性疾患(心筋梗塞、狭心症、脳卒中、末梢動脈の閉塞性動脈硬化症)が増加し、我が国の死因と寝たきりの原因の主たる比率を占めています。超高齢化社会への道を進む我が国において動脈硬化性疾患はさらに増加し、社会が医療費高騰に耐えられない事態が生じつつあります。その克服は「健康フロンティア戦略」の目標である、健康寿命の延長、健康安心の推進、の達成に大きく貢献することから、国家的課題として取り組む必然性があります。そこで本研究室では、「動脈硬化性疾患の分子病態解明を基盤とする分子標的治療法の創製と臨床応用(トランスレーショナルリサーチ)」を目標としています。「臨床に視点を置いた基礎研究」の成果を基盤として世界に通用する新しい診断・治療法の研究開発(知を創る研究)を目指しています。その過程で、大学院生には「知を伝える教育」を心がけています。「我が国発」「世界標準」の革新的次世代医療の実用化によって「知を活かす社会貢献」につながることを期待します。

その目標達成には、第一に血管病の分子病態を解明し充分理解する必要があります。例えば私達は、動脈硬化性疾患の分子病態において「炎症」が中心的役割を果たすという仮説を立て、その検証に努めてきました(詳細は主要な研究テーマと関連業績 参照)。

その結果、単球・マクロファージのケモカインであるmonocyte chemoattractant protein-1(MCP-1)が鍵となる分子で有ることが分かりました。すなわち、MCP-1の機能抑制(抗MCP-1遺伝子治療)やMCP-1の発現抑制(NF-κB抑制、ARBやスタチン、カルシウム拮抗薬による血管保護etc)によって炎症が抑制され、動脈硬化性疾患(再狭窄、プラーク不安定化)や高血圧性リモデリングが抑制されることが分かってきました。さらに、MCP-1は単なるケモカインとして働くだけでなく、心血管病態から臓器不全の形成に重要な役割を果たすことが分かってきました。すなわち、白血球以外の様々な細胞(内皮、平滑筋、線維芽細胞、心筋、脂肪細胞、ガン細胞、中枢神経細胞など)にもMCP-1受容体が存在し機能していること、 MCP-1の過剰発現が臓器線維化、腫瘍血管新生、心不全、虚血・再灌流、移植後動脈硬化をもたらすこと、その抑制が病態の発生進行を遅らせることが、ことが明らかになりました。また、MCP-1が心血管病態・臓器不全の臨床バイオマーカーになることも多くの施設から報告されました。

このような分子病態の解明を基盤として血管病に対する分子標的治療法の創製と臨床応用(トランスレーショナルリサーチ)」を進めています。例えばMCP-1の抑制に基づく抗炎症療法(7ND遺伝子あるいはタンパク投与、NF-kBデコイ投与)の臨床応用を進めるには、現行の医療の必要性や患者ニーズ、市場ニーズを配慮する必要があり、「より効果的」かつ「「より安全」な医療とするためのドラッグデリバリーシステムを導入する必要があります。現在進行中の主要研究テーマは以下です。研究の概要と業績は「主要な研究テーマと関連業績」を参照下さい。

  1. 抗炎症(抗MCP-1、抗NF-κB)療法による難治性循環器疾患のトランスレーショナルリサーチ
  2. ナノ医工学融合による先端ナノ医療の創製と臨床応用
    ・革新的医療機器の研究開発(独創的ナノ粒子コーティング技術開発、生体吸収性ポリマー考案、生体吸収性Mgステント開発、ナノ粒子コーティングステントの創製、ナノDDSカテーテルの作製など)
    ・吸入ナノDDS技術開発による吸入ナノ医療の創製
    ・単球-マクロファージ選択的ナノDDSによる動脈硬化プラークruptureの予防
    ・血管内皮細胞選択的ナノDDS低侵襲血管新生療法

研究業績プロフィール

2007年5月まで:
英文原著総数:239編
(N Engl J Med, The Lancet, J Clin Invest, Faseb J, Circulation, Circulation Res etc.)
Impact Factor総数:1567.942 平均Impact Factor:7.396/論文
Impact Factorが5以上の論文数:139編 10以上の論文数:60編
論文被引用総数:7,215
平均被引用数: 35/論文 被引用数が100以上の論文数:14編  200以上の論文数:5編

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