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教室について

血管分子病態医学・トランスレーショナルリサーチ研究室

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主要なテーマと関連論文


  1. 抗炎症(抗MCP-1、抗NF-κB)療法による難治性循環器疾患のトランスレーショナルリサーチ
  2. ナノ医工学融合による先端ナノ医療の創製と臨床応用

2. ナノ医工学融合による先端ナノ医療の創製と臨床応用

  1. 革新的医療機器の研究開発(独創的ナノ粒子コーティング技術開発、生体吸収性ポリマー考案、生体吸収性Mgステント開発、ナノ粒子コーティングステントの創製、ナノDDSカテーテルの作製など)
  2. 吸入ナノDDS技術開発による吸入ナノ医療の創製
  3. 単球-マクロファージ選択的ナノDDSによる動脈硬化プラークruptureの予防
  4. 血管内皮細胞選択的ナノDDS低侵襲血管新生療法
  5. 動脈硬化プラークをくっきり映し出す分子イメージング創製

イノベーションをもたらす先端技術融合を基盤研究として、画期的ナノ医療の創製に成功し、臨床応用を目指している。この成果はプレスリリースされ産業界からも大きく注目を浴び医療機器企業との実用化事業に結びついている。
http://www.hosokawamicron.co.jp/news/pdf/news20070222.pdf

この産学連携によって低侵襲医療をもたらす世界標準の治療用デバイス(生体完全吸収性ナノテクDDS制御ステント)や革新的ナノ治療(ナノ粒子DDSによる動脈硬化性疾患に対する分子標的治療・治療的血管新生療法、吸入ナノDDSによる難治性肺疾患のナノ治療など)の基盤が整った。得られた成果の臨床応用を行うことを最優先の目標とし、知的財産部や高度先端医療センターと協力してトランスレーショナルリサーチ(臨床への橋渡し研究)を推進している。

未来を拓くナノ医療  ナノ医工学融合による名の医療の創製と低侵襲安心医療実現
研究課題名1:ナノ医工学融合のインテリジェントナノDDSステント開発に基づく低侵襲血管内ナノ医療システムの創製
未来医療を拓く炎症制御による  生体完全吸収性ナノテクDDSステントの創製概要:
【必要性、背景】
我が国は未曾有の高齢化社会を迎えて、動脈硬化性疾患(心筋梗塞、狭心症、脳卒中、末梢動脈の閉塞性動脈硬化症)が増加し、医療費高騰に社会が耐えられない事態が生じつつある。したがって、その克服は国家的課題として取り組む必然性がある。

動脈硬化性疾患に対する治療として経皮的カテーテルインターベンションが世界的に普及しており、その市場は極めて大きい。その治療に薬剤溶出ステント(DES)が広く用いられているが、最近現行のDESには解決すべき重要な問題が存在することが明らかになってきた。例えば、遅発性血栓による急性心筋梗塞と死亡が増加(下記参考資料参照)、「体内永久残存型」、分子標的医薬のコーティングは困難、国産製品は皆無、等である。

【目的】
本研究の目的は、これらの臨床の現場から上がっている問題点を全て解決できる次世代製品として、ナノテクDDS制御機能を兼ね備え生命予後を改善する世界標準の低侵襲血管内医療システム(分子標的医薬溶出・生体完全吸収性DDSステント、DDSカテーテル)を創製し臨床応用することである。

具体的には、ナノ医工学融合によるイノベーションによって国際競争力を有する革新的低侵襲血管内医療システム(分子標的医薬溶出・生体完全吸収性ナノテクDDSステント、DDSカテーテル)を開発する。そのために、以下の三位一体の研究開発を推進する。第一に、国産の難燃性マグネシウム(Mg)を用いて生体完全吸収性の次世代ステントを提案する。第二に、独自に開発したコーティング技術によって、Mgステントに生体吸収性ナノ粒子をコーティングする。第三に、分子標的医薬を動脈硬化性病変部位に効果的に送達できる高効果・低副作用の医療機器の実用化を目指す。

【期待される成果(新産業創出と我が国産業の競争力強化)、独創性、特色など】
ナノテクDDSに基づく革新的低侵襲ナノ医療の実現:ナノテクDDS制御技術開発に基づく生体完全吸収性分子標的医薬溶出ステントが事業化されれば、動脈硬化性疾患(再狭窄、心筋梗塞、脳卒中)に対する革新的低侵襲ナノ治療が確立できる。

国民・社会・経済への貢献:その結果、患者のQOL・生命予後改善、早期社会復帰を実現する高効果・低副作用の低侵襲医療が達成され、医療費の削減と適正化をもたらされるので厚生労働科学に対する貢献は十分ある。また、国際競争力を有するナノ医療の誕生によって、新しい医療産業がもたらされ我が国産業の競争力強化への貢献も大きい。

先端技術の融合によるイノベーション創出がもたらす高い独創性:本研究は先端技術融合による世界標準の低侵襲医療機器開発に挑戦するものであり独創性が極めて高い。全ての技術・材料・アイデアに関して特許を取得・出願しており、本技術を模倣することは極めて困難である。したがって、本製品は国際的競争力を有する我が国発世界標準の医療機器となる可能性がある。

参考資料:DESによる遅発性血栓症の衝撃(PDF)

研究課題名2:吸入ナノDDS制御技術開発に基づく重症肺高血圧症に対する低侵襲吸入ナノ医療システムの創製
【研究の学術的背景】
肺高血圧症(PAH)は肺動脈性肺高血圧症(特発性、膠原病、門脈圧亢進症)と呼吸器疾患や低酸素血症、慢性肺塞栓血栓症の結果生じる肺高血圧症などに分類される(2003年、ベニス分類)。従来、進行した重症肺高血圧症の予後は極めて悪く(5年生存率は50%以下)、且つ、効果的治療法は無い疾患と認識されてきた。したがって、対症療法や姑息的治療が主体であったが、最近、重症の肺動脈性肺高血圧症に対する新しい治療法が確立し注目されている。

すなわち、プロスタサイクリン持続静注法が普及しつつあり、それによって生命予後が改善している。ただし、このプロスタサイクリン持続静注法の問題点として、(1)中心静脈カテーテルの留置の必要性(2)その感染のリスク(3)持続注入用ポンプを携帯する必要性、があり、患者のQOL低下の原因となる。さらに、経口薬による治療も普及しつつありエンドセリン拮抗薬(ボセンタン)、プロスタサイクリン類似薬(ベラプロスト)が承認され治療の選択肢も増えている。しかし、このような新しい治療法を駆使しても5年生存率は60%と極めて低い。したがって、重症肺高血圧症に対する発生機序に則した根本的且つ低侵襲治療法の研究開発が期待されている。

申請者らは、重症肺高血圧症に対する革新的次世代治療法開発のために、この数年来企業と連携して生体吸収性高分子ポリマー(PLGA)製ナノ粒子を用いて吸入型ドラッグデリバリーシステム(DDS)を開発してきた。申請者らが医工薬学融合研究によって開発した世界初の生体吸収性“吸入ナノテクDDS”製剤は、申請者らが独自に開発してきたものであり、以下の独創性と特色がある:(1)優れた細胞導入効率と細胞内安定性(2)導入された治療因子は細胞内で安定して徐放(細胞内DDS)(3)吸入に適した空気力学的粒子径(細気管支:2〜7 μm、肺胞:0.5〜2 μm)にナノ粒子を複合(コンポジット)化するための高次構造制御技術(ナノ粒子そのものを吸入した場合、その99%以上は口腔・気管壁に付着し細気管支より末梢気道には達しない。細気管支-肺胞に送達するにはコンポジット化して空気力学的粒径を1〜7 μmにする必要がある。)(特許出願)。

これらの吸入ナノテクDDS技術開発によって、治療因子の肺組織細胞(肺胞上皮、細気管支、細動静脈、肺胞マクロファージ)内への安定送達が達成される。重症肺高血圧症は細肺動脈の過剰増殖、炎症、収縮、血栓症を主病変とし、2次的に肺胞・気道の障害が生じることから、吸入ナノテクDDSによる病変局所への直接送達は最も適切であり、根本的かつ低侵襲治療の開発に繋がるアプローチである。

【研究目的】
本研究の目的は、我々が研究開発してきた世界初の吸入ナノテクDDSが重症肺高血圧症の画期的次世代治療になるかどうかを明らかにするために実行可能性試験(feasibility study)を実施ことである。具体的には以下の3点を明らかにする。第一に、ナノ粒子の細胞内送達をヒト培養肺動脈細胞で明らかにする。第二に、ナノ粒子を動物の気管内に投与し、その分布と局在を追跡する。第三に、分子標的治療因子を封入したナノ粒子を重症肺高血圧症動物モデルに気管内投与し、その有効性と安全性を明らかにする。

学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義
【学術的特色と独創性】
本研究は吸入ナノテクDDSの開発に挑戦するものであり、独創性が高い。ナノ粒子を複合化して粉末吸入剤とし細気管支-肺胞レベルまでナノ粒子を送達できる仕組みを世界で初めて考案した点もユニークである。技術的特色として、優れた細胞導入効率と細胞内安定性を達成した点が挙げられる。これによって、一回吸入で長期間(少なくとも7日間)作用する画期的吸入ナノテクDDSが達成された。

【予想される結果と意義】
吸入ナノテクDDSによって治療因子の病巣選択的送達が可能になれば、重症肺高血圧症に対する画期的低侵襲治療法の開発につながる点で臨床的意義は大きい。生体吸収性ポリマーを用いること、全身投与と比較して少ない量の治療因子でより大きい効果が得られることから、安全性に関する問題は少ない。さらに、一回吸入で長期間作用することから、患者のQOL改善への貢献も大きい。

この吸入型ナノテクDDSでは複数回投与や多剤投与が容易にできることから、肺高血圧症の分子機序を構築する複数の因子(増殖、炎症、収縮、血栓など)に対する個別の分子標的アプローチが可能である。したがって、遺伝子診断と組み合わせることによって、テーラーメイド的分子標的治療が実現する可能性がある。
関連業績
  1. 船越公太、江頭健輔:ステント内再狭窄の分子機構と生体吸収性ナノ粒子電着による遺伝子溶出ステントがもたらす新たな治療戦略. 日本薬理学雑誌 社団法人日本薬理学会 2007;129(3):171-176
  2. 船越公太、江頭健輔:ナノDDS制御コーティング技術の創製による次世代ステント内再狭窄抑制対策の開発. Mebio メジカルビュー社 2007;24(4):106-117
  3. Nakano K, Egashira K, Masuda S, Funakoshi K, Kimura S, Tsujimoto H, Hara K, Kawashima Y, Tominaga R, Sunagawa K. Development of a novel bioabsorbable polymeric nanoparticle drug or gene eluting stent by electro-deposit nanoparticle-coating technology.Jpn J Intervent Cardiol. 2007:22(3):201-210

臨床橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)において特許出願は重要であることから、特許出願を優先させています。そのため研究成果の学会発表、論文発表が遅れています。2007年の日本循環器学会、日本心臓病学会、米国心臓学会における発表内容を以下に記載します。

【日本循環器学会(2007年3月)】
  1. プレナリーセッション「新たなるナノテクノロジーとは?」 Development of a Novel Bioabsorbable Polymeric Nanoparticle-Eluting Stent by an Actively-Controlled Multilayer Coating Technology
  2. 一般演題
  1. Sustained Intracellular Delivery of Nanoparticles in Porcine Coronary Arteries from a Bioabsorbable Polymeric Nanoparticle-Eluting Stent
  2. Intracellular Delivery of Imatinib (PDGF Receptor Tyrosine Kinase Inhibitor) with Bioabsorbable Polymeric Nanoparticle Technology Effectively Suppresses Vein Graft Neointima Formation
  3. A Novel Nanotechnology-Based Strategy for Therapeutic Neovascularization: Local Delivery of Statin with Biodegradable-Polymeric-Nanoparticle Improves Therapeutic Efficacy of Ischemic Neovascularization

【日本心臓病学会(2007年9月)】
  1. 教育講演

    「薬剤溶出性ステントの問題点(遅発性血栓症、など)と新しい次世代アプローチ(分子細胞標的薬溶出・生体吸収性ナノDDSステント)」


【米国心臓学会(2007年11月)】

  1. 「A Novel Anti-Inflammatory Therapeutic Approach for Pulmonary Arterial Hypertension: Blockade of NF-kB by Nano-DDS of NF-kB decoy to the lung ameliorates monocrotaline-induced PAH」
  2. 「Blockade of PDGF Receptor Tyrosine Kinase by Ex Vivo Nano-DDS of Imatinib Mesylate into the Vein Suppresses Vein Graft Neointima Formation」
  3. 「Nanoparticle-Mediated Intracellular Delivery of Imatinib, a PDGF Receptor Tyrosine Kinase Inhibitor, in Porcine Coronary Arteries from Nanoparticle-Eluting Stent Attenuates Neointimal Formation」
  4. 「An Innovative Therapeutic Approach for Pulmonary Arterial Hypertension: Single Intratracheal Administration of Bioabsorbable Nanoparticle Incorporated with Statin Ameliorates Monocrotaline-induced Pulmonary Artery Hypertension and Survival」
  5. 「Vascular Endothelial Growth Factor Accelerates Neointima Formation Through Flk-1 After Wire Injury In Flt-1 Tyrosine Kinase-deficient Mice」

  1. 抗炎症(抗MCP-1、抗NF-κB)療法による難治性循環器疾患のトランスレーショナルリサーチ
  2. ナノ医工学融合による先端ナノ医療の創製と臨床応用

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