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九州大学病院検査部はISO15189を取得しています。

康 東天 部長の挨拶BUTYO AISATSU

康 東天 部長の挨拶 2010.10.01

部長

「あらためて先進的で創造的な検査部であるために」

 九州大学病院検査部は院内の臨床検査に統合的に責任を持つ部門としては、全国の大学病院の中でも最も早期に中央化されたうちの1つであり、50年を越えて九州大学病院の診療を支えています。
 九州大学病院検査部はこの長い歴史に裏打ちされた日本の臨床検査を支える基幹施設として、検査サービスをただ提供する通常の病院検査部とは異なり、3つの大きな使命を持っています。
 それは(1)最先端の臨床検査、(2)検査医学の進歩、そして(3)検査診断学です。 検査部における2009年度の総検査件数は630万件を越え、九州大学病院内の検体検査、細菌検査、生理検査の殆どを担っています。この膨大な量の検査の結果を高精度にしかも迅速に提供することで、臨床各科における迅速かつ正確な診断と治療の遂行に無くてはならない役割を果たしています。
 このような日常的な検査の中に加えて、九州大学独自の検査システムの構築に努力しています。例を挙げますと、検体検査での血栓性素因の体系的な検査システムやミトコンドリア遺伝子異常症の遺伝子検査システムなどは他の大学病院検査部に例を見ないものです。細菌検査室では、細菌種の迅速な同定や薬剤耐性遺伝子の有無の検査のために積極的に遺伝子検査を導入し、院内細菌感染制御に大いに貢献しています。現在の抗生物質の切り札とされるカルバペネム系を分解する抗生物質耐性遺伝子を持つ肺炎桿菌が日本にも流入していることを報告しました。これが、近年大きな問題となっている多剤耐性菌院内感染予防との関連で話題になったことをご記憶の方もおられるかと思います。2010年にはクラス1レベルの無菌検査室を設置し、最高レベルの生物製剤安全性検証体制を整えました。生理検査室での院内LANシステムを用いた24時間脳波モニタリングも、実用レベルで実施しているのは他に例を見ないものです。 臨床検査医学という学問領域の進歩に貢献することは、すべての大学病院検査部に求められる基本的役割のひとつです。とりわけ九大病院検査部は日本において重い役割を担っています。九州地区で取り組んできた検査の標準化、検査値共有化への活動は、今や日本全国のスタンダードとなりつつあります。検査の標準化は日本の枠を越え、世界レベルの標準化へと進んでいます。それにつれて九州大学検査部の役割も世界レベルへと進化しなくてはいけませんし、実際そうなりつつあります。一例を挙げると、現在、国際臨床化学会(IFCC)で膵炎のマーカーの1つであるリパーゼ検査法の世界標準法の設定を進めています。その遂行のための世界の3つの比較検定検査室の1つに本検査部がなっています(他の二つはヨーロッパ)。 臨床検査結果はそれが診断と治療に正しく活用されて初めて本来のその目的を完結させることになります。信頼できる検査結果の提供とそれが正しく活用されるための情報発信は車の両輪と言うべきものです。従来から、検査部は検査技師を目指す学生に検査実習の場を提供することで検査技師教育に不可欠な役割を果たしてきましたが、2010年からは医師を目指す学生に検査診断学実習を開始しています。今後は、医療従事者だけでなく、一般の方々への検査の意味と価値の情報発信をどうするかを考えて行きたいと思っています。 九州大学病院検査部は今後もより一層、迅速で信頼性の高い検査結果の提供、先進的検査法の開発、分かりやすい検査情報の発信をすべく努力して行きます。このホームページが、九州大学病院検査部の今が常に見える、新しい情報の発信基地のひとつとして有効利用されることを期待しています。

過去の挨拶:2009  


バナースペース

九州大学病院 検査部

〒812-8582
  福岡県福岡市東区馬出3-1-1
  生理検査室  :北棟2階     (内線3614)
  検体検査室  :南棟2階     (内線5771)
  輸血検査室  :南棟2階     (内線5867)
  遺伝子検査室:南棟2階     (内線3504)
  細菌検査室  :南棟2階     (内線5757)
  外来検査室  :外来棟3階 (内線5742)