九州大学皮膚科学教室 ムラージュコレクション

梅毒

21.

現在の病名
ばいどく
梅毒
Syphilis
1845_4823

 上口唇に潰瘍を伴う結節を認める。顔面の他部位には潰瘍治癒後の瘢痕が散在している。第3期梅毒にみられるゴム腫(gumma)である。ラベルには晩期腫と記載されているように読める。このような重症の皮疹をもつ患者を診ることは現在ではほとんどない。我が国に梅毒が伝播したのは1500年代初期とされる。江戸から明治時代に大流行した後、第2次世界大戦後に再流行した。1950年では10万人当たりの年間罹患率は91であったが、1997年には0.4に激減している。しかし、近年、再興の兆しがある。フレミングによって1929年に発見されたペニシリンは、1942年よりベンジルペニシリンとして実用化されたが、梅毒にもきわめて効果が高い。ペニシリンに代表される抗生物質の開発によって、現在では梅毒を早期に治療することが可能である。

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