診療のご案内

産科婦人科 全般の専門領域に関して診療を行っています産科婦人科は明治38年に婦人科学産科学講座として開講された本学で最も古い講座の一つで、婦人科悪性腫瘍、生殖内分泌、周産期といった産婦人科全般の専門領域に関して診療を行っています。

診療内容に関する特色

特殊治療・技術

高次施設として当科で種々の疾患に対して行っている特殊治療・技術には次のようなものがあります。

  • 婦人科悪性腫瘍に対する腹腔鏡手術(子宮頸がん・子宮体がんに対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術)
  • 初期の子宮頸がんの患者さんに対して1)将来の妊娠を可能とする妊孕性温存手術(子宮頸部摘出術)、2)骨盤リンパ節の摘出を最小限にするためのセンチネルリンパ節ナビゲーション手術
  • 過多月経にたいするマイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)
  • 不妊治療・体外受精(IVF-ET)・顕微授精(ICSI)、卵子凍結、中高年女性退行性疾患に対する集学的管理・治療、早発卵巣不全に対する卵巣機能診断・妊孕性温存療法(未授精卵凍結・胚凍結)、思春期外来
  • 超音波断層法を用いた胎児形態・機能異常診断、胎児治療、ハイリスク妊娠・分娩の集学的管理、母子精神保健(妊娠・産褥期の母子精神支援)

診療方針

当科は九州一円における高次診療ならびに教育研修施設として一般的な産婦人科診療に加えて先端的な診療を行っています。たとえば、各種悪性腫瘍に対する手術療法、多剤併用化学療法や化学療法併用放射線療法、腹腔鏡手術(子宮頸がん・子宮体がんに対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術、良性疾患に対する腹腔鏡手術)、体外受精・顕微授精等の不妊治療、中高年女性退行期疾患に対する予防・治療、合併症妊娠の集学的治療、胎児の出生前検査・治療、母子メンタルヘルスクリニック等です。今後とも地域の病院と連携しながら、ハイリスク疾患や高度医療に特化した診療を目指していきます。

対象疾患

診療対象である病気(疾患)は、次のとおり産科婦人科全領域です。

婦人科悪性腫瘍(子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、絨毛癌、外陰癌、腟癌)
婦人科良性腫瘍(子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣嚢腫、子宮内膜症)
不妊・内分泌疾患(不妊症、内分泌異常)
性器の奇形・位置異常(子宮・腟の奇形)
子宮脱、炎症性疾患(外陰、腟感染、骨盤腹膜炎)
女性の加齢に伴う疾患(更年期障害、骨粗鬆症、高脂血症、動脈硬化)
ハイリスク妊娠および妊娠・分娩・産褥合併症、胎児異常(胎児形態・機能異常)
その他の妊娠関連疾患。

外来検査

超音波検査

超音波断層装置を用いて、経腹的・経腟的に子宮筋腫や卵巣腫瘍など骨盤内の異常の有無を検査します。産科領域では子宮内発育不全の胎児、形態異常を有する胎児を対象として精度の高い出生前形態診断を行っています。また、胎児の中枢性神経機能や循環動態を機能的側面から観察することにより個別化した胎児の機能評価を行っています。

内視鏡検査

子宮がん検診で異常を指摘された場合など、子宮腟部拡大鏡診を用いて、子宮頸部の癌や前癌病変の精密検査を行います。細径内視鏡で子宮内の異常、例えば粘膜下筋腫やポリープ、子宮体癌などの診断を行う子宮鏡検査を行っています。

羊水・臍帯血検査

羊水穿刺や臍帯穿刺などの手技を用い、染色体検査、遺伝子解析、胎児血検査などを行っています。非侵襲的検査のみでは得られない胎児の情報を得ることが出来ます。

主な治療・高度医療

婦人科悪性腫瘍手術

子宮頸癌、子宮体癌の根治術で、広汎子宮全摘術、準広汎子宮全摘術、単純子宮全摘術および骨盤リンパ節郭清術、傍大動脈リンパ節郭清術などがあります。腹腔鏡による悪性腫瘍手術も積極的に取り組んでおり、子宮頸がん・子宮体がんに対する腹腔鏡手術については健康保険が適応される施設基準を満たしており、子宮体がん(腹腔鏡下子宮体がん手術)は2014年より約120例に、子宮頸がん(腹腔鏡下広汎子宮全摘出術)は2016年より約30例に行っています(2018年10月現在)。また2018年より進行子宮体がんに対する傍大動脈リンパ節郭清を含む腹腔鏡下子宮体がん手術(高度先進医療)も開始しました。子宮悪性腫瘍に対するロボット手術も臨床試験として行っています。また子宮頸部の上皮内癌や異形成に対してはレーザー蒸散術や円錐切除術を、初期の子宮頸がんの患者さんに対して妊孕性温存手術(子宮頸部摘出術)を行い、将来の妊娠を可能としています。卵巣腫瘍の場合は手術中に迅速病理診断で良悪性の診断を行い、適切な手術法を選択します。外陰癌の場合は広汎外陰切除術、ソケイリンパ節郭清術を行います。

婦人科悪性腫瘍化学療法・放射線療法

卵巣癌をはじめ、子宮頸癌、子宮体癌、絨毛癌など、種々の婦人科悪性腫瘍に対して最新の抗癌剤治療を行います。分子標的薬を用いた化学療法も行っています。また、子宮頸癌、子宮体癌、外陰癌などに対して放射線科と協力して効果的な放射線治療を施行しています。

腹腔鏡手術

子宮頸がん・子宮体がんに対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術、良性疾患(子宮筋腫・腺筋症、良性卵巣腫瘍)に対する腹腔鏡手術を積極的に行っています。子宮外妊娠、卵巣腫瘍茎捻転に対しては腹腔鏡による緊急手術で対応します。また、卵巣癌診断のために腹腔鏡手術を応用しています。

腹腔鏡手術後 開腹手術後

内視鏡手術

子宮鏡を用いて子宮内ポリープや粘膜下筋腫などの切除を行います。また、過多月経にたいするマイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)も開始しました。

胎児治療

胎児胸水、先天性肺気道奇形(CPAM)、胎児貧血、閉塞性尿路障害といった疾病胎児を対象に、高度医療としての胎児治療を行っています。

早産予防

早産ハイリスク妊婦を対象に、プロゲステロン腟坐剤を用いた早産予防効果に関する介入型臨床研究を行っています。

診療統計(手術数、分娩数)

      

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