九州電子顕微鏡技術研究会の紹介
 
発足および設立理念

 昭和62年の暮れ、九大医学キャンパスの電子顕微鏡に携わっている技官4名と工学部の技官1名で忘年会をしていたとき「もっと輪を広げた親睦会にしたい、ついでに勉強会をやろうではないか」と意見がまとまったのが九州電子顕微鏡技術者研究会の発端であったように思います。電顕の操作やメンテナンスはメーカーやサービス会社のサポートで遂行できましたが、試料作製技術等は徒弟的な縦方向の伝授が普通であり、技術者同士の横の交流が少なかったと思います。また、学内の教育や研究組織が縦割りで、その弊害が我々技術者まで及び教室や研究の内容が異なれば顔も知らない状況でした。そのような訳で「親睦は勿論、日頃の疑問点や新しい技術の紹介など」をフランクに話し合える場所があればいいなーという気持ちでありました。電子顕微鏡が高価で、特殊技術であったり、ユーザーが少ない等の理由で一般的でなかったものが、普通に様々な分野で用いられる道具となってはいましたが、試料作製技術だけは職人気質的な要素を残していました。
 まず、研究会の性格上、参加者の範囲を「電顕技術者」と限定したわけですがよく考えると近隣の大学を含めて10名足らずで、余りにも寂しいので九州全域の企業や病院の技術者さらにメーカーやサービス会社の参加応援を願うことにしました。一方、材料系と生物系の参加者の公平を計るために共通した題材を選択するとなるとすぐ枯渇してしまう心配がありました。そこで、原則1題の特別講演を隔年で材料系と生物系の研究者に依頼し、研究や検査、教育の現場でどのように電子顕微鏡が活用されているか、また、メーカーにもPRを兼ねた製品紹介もいとわないという条件で演題募集を行いました。研究会の当日は日頃疑問に思っているが尋ねる機会がない参加者に「何でも質問コーナー」を設けそれぞれの経験者が回答しました。最も重要だった事は毎回欠かさずナノリポートという報告集を編纂し、歴代の日本電子顕微鏡学会九州支部長、関係の先生方や大学人事担当者にご高覧いただいたことです。九州支部からは助成金を頂くまでに成長し、我々を大いに元気ずけてくれました。また、技術者のみならず、研究者の参加も多くなり、平成9(1997)年、名称を「九州電子顕微鏡技術研究会」と改めました。
 近年、形態学やウイルス微生物学のみならず生化学、免疫学、分子生物学などの分野で電子顕微鏡のニーズが高まっています。本研究会の設立目的は、電顕に関する情報を共有化し、技術・知識の向上を図ることであり、フランクに話し合える場を提供することを基本姿勢としてきました。近年の電子顕微鏡の需要の広がりを鑑みれば、さらに「開かれた研究会」を目指す必要があると考えられます。

平成13年2月20日