【村上華林堂病院】

(医療法人財団華林会村上華林病院 理事長・神経内科部長 菊池仁志)

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経難病は、難治性進行性で、全身の運動機能の障害のため、本人・家族の精神的・経済的な負担は極めて大きく、医療だけでは解決できない、数々の社会的問題、家族介護問題など数多くの問題を抱えています。そこでは「病気」を診るという事より、「病人」を看るという姿勢が重要になってきます。つまり「神経難病」を診るのではなく、「神経難病という病を持った悩める人」に対し、その人にまつわる様々な問題を解決していく「全人的医療」が望まれます。そして、その実践には、コメディカルを中心としたチーム医療体制の確立が必須であります。私どもは、中小規模の民間総合病院の特性を生かしたチーム医療・医療連携を通して「神経難病患者さんへの全人的医療」 に取り組んでいます。
 当院の神経難病診療の特徴は、病院所属の在宅診療部(神経内科専門医1名専属)を中心に、レスパイト入院を繰り返すことで、末期まで一貫した総合診療に取りくんでいることです。特に最近では、九州大学神経内科の学生実習で在宅医療を体験していただける機会も増えてきました。学生さんたちの向学の一助になれば幸いです。
 また、先進医療に関しても、ALS、パーキンソン病、アルツハイマー病などの患者さんに対する臨床治験に積極的に取り組んでおります。神経難病に病む患者さん方の希望となることを期待いたします。
 学術活動では、リハビリテーション科、看護部とともに日本神経難病ネットワーク研究会などで多くの学会発表を行っております。また、講演活動にも積極的に取り組んでおり、昨年度は、第2回ALSフォーラム(東京)や各地の保健所・行政関係などで講演活動を行いました。また、公的研究関連では、昨年度まで国立病院機構ネットワーク研究「長期経過した筋萎縮性側索硬化症の臨床所見、画像所見及び遺伝子解析の研究」班の研究力者をさせていただいておりました。また、昨年度より新たに厚生労働省「希少性難治性疾患患者に関する医療の向上及び患者支援のあり方に関する研究班」分担研究者として、吉良教授より推薦していただき、全国的な研究活動にも取り組んでおります。

主な神経疾患患者内訳(平成18年8月から平成24年3月現在まで)
ALS 約100-110例、脊髄小脳変性症・多系統萎縮症約50-60例、パーキンソン病200例以上、進行性核上性麻痺10例、大脳皮質基底核変性症6例、多発性硬化症10例、多発筋炎4例、ハンチントン病1例、他多数。