【脳卒中に対する九大神経内科の取り組み(2003年4月1日)】

  平成15年4月1日より福岡市民病院に脳卒中センター神経内科が開設されます。脳卒中はわが国の死因の第3位を占め、寝たきり老人の最も多い原因となっています。脳卒中は心筋梗塞の約6倍の発生率であり、大変頻度の高い病気です。また後に重い後遺症を残すことが多いため、わが国のような超高齢社会では大きな社会問題となっています。

  福岡市においては、熊本市などの脳卒中診療に先進的な取り組みをしてきた地域に比べて、その診療体制の確立では遅れを取っていました。このような状況にあって福岡市民病院に脳卒中センター神経内科が開設されるのは、誠に喜ばしいことです。九大神経内科ではこの数年間に、国立別府病院脳卒中センター神経内科、飯塚病院脳卒中センター神経内科、済生会福岡総合病院脳卒中センター神経内科の開設に積極的に関わってきました。これらのセンターではいずれも脳外科との密接な連携のもとに24時間体制で急性期脳卒中診療にあたっています。九大病院においても神経内科と第2内科で脳卒中ホットラインを立ち上げて24時間体制で脳卒中急患に対応しています。済生会福岡総合病院脳卒中センター神経内科は平成14年4月の開設ですが、この1年間で600例を超える急患入院がありました。福岡市における救急神経内科診療の主役となってきています。福岡市は人口が増加の一途をたどっており脳卒中急性期診療の需要が高いことから、福岡市民病院脳卒中センター神経内科においても同様な活躍が期待されます。

  脳卒中は急性発症の運動麻痺、感覚障害、意識障害などを呈しますが、脳卒中以外にも同様な症状を呈する脳神経疾患がありますので、来院時に適切に鑑別診断することが不可欠です。神経内科では脳卒中に限らず幅広く急性期脳神経疾患を診ておりますので、様々な病状に対応することが可能です。もちろん脳外科との密接な連携が大切であることはいうまでもありません。

  さらに急性期を過ぎたあとは、亜急性期から慢性期のリハビリテーションがとても大事です。本来は一つの病院で急性期から慢性期まで入院治療できれば理想的ですが、現在は在院日数の制限が大変厳しいため、一病院で全て行うこと(一病院完結型)は困難ですし、また効率もよくありません。そこで、現在は地域完結型といって、急性期病院と慢性期リハビリ病院が密接なネットワークを形成して、24時間体制の急性期脳卒中診療と慢性期リハビリの連携がスムースにいくような仕組みを作ることが求められています。九大神経内科では、済生会福岡総合病院脳卒中センター神経内科や福岡市民病院脳卒中センター神経内科と密接に連携して、これらの急性期病院と、福岡市のリハビリ病院を結んだネットワーク作りを目指しています。神経難病については、九大神経内科が拠点病院となって福岡県重症神経難病ネットワークが既に立ち上げられ、全国に先駆けて神経難病患者様の療養環境整備に取り組んでいます。今後、同様なネットワーク作りが脳卒中診療においても求められると思います。現代日本社会の疾病構造の変化から、ますます神経内科は重要になってきています。九大神経内科ではこのような需要の変化によく対応できるよう診療の向上に努力していきたいと考えています。