【外国人プロフェッサーの回診(2004年11月29日)】

  11月はドイツからディエナー教授(Professor Diener)、スペインからトロサ教授(Professor Tolosa)の訪問がありました。

写真1
写真1:トロサ先生の九大医学部での講演の後に。(2004年11月15日)
博多織のテーブルセンターにトロサ先生の名前を織り込んだものをプレゼント。
左より谷脇助教授、吉良教授、トロサ先生

  12月にはシカゴからチェレジア教授Professor Celesia)が訪問されセミナーをされる予定です。ディエナー先生は、ドイツの神経学会の会長、トロサ先生はスペインの神経学会の会長です。またチェレジア先生はアメリカの神経学会の会長でありました。いずれも各国を代表する、そして世界をリードする神経学者です。トロサ先生は、神経学の領域では有名で古典的な病気であるTolosa-Hunt症候群のTolosaの息子にあたります。トロサ先生には病棟で難しい病気の患者さんの診察をしていただきました。またチェレジア先生は今年10月にもお見えになり、そのときには病棟の回診をしていただきました。いずれもすばらしい講演をしてくれましたし、回診では貴重なコメントをいただきました。

写真2
写真2:トロサ先生を囲んで会食。(2004年11月15日)
左よりフィリピンからの留学生Pineda先生(Clinical Instructor /Lecturer)、谷脇助教授、トロサ先生、吉良教授

  九大神経内科には高名な外国人プロフェッサーがよく来訪されます。そのときに時間があれば病棟の回診をしてもらいます。多くの方は断られず、気持ちよく回診してくれます。病棟研修医に患者さんのケースプレゼンテーションを英語でしてもらい、診察していただきます。英語のプレゼンテーションは骨が折れますが、若い研修医にはいい勉強になりますし、わかりにくい病気の方を診てもらいますから、異なった視点からの意見は診療上も大変参考になります。私も病棟医のころ、やらされました。英会話が下手だったので、外国人の教授の言っていることが全然わからず、本当に困りましたが、よい経験になりました。回診でも講演でも、積極的に質問した方が相手も喜ぶし、自分の勉強にもなるので、恥を恐れずどんどん質問することが大切ですね。

写真3
写真3:ディエナー先生と懇親会で。(2004年11月10日)
左よりディエナ先生、村井講師、谷脇助教授、吉良教授

  ところで神経内科の教授の臨床の実力は、回診してもらうと、その診察手技とコメントですぐわかります。ただ一言付け加えておきますと、このような訪問先での回診は、前もって患者さんのことを聞いているわけではなく、その場でいきなり病歴を聞いて大勢の注視のなかで診察するわけですから、なかなか緊張して普段の力が十分発揮できないことも多いです。時差で頭がぼけていることもありますしね。私も中国とイタリアに行ったとき、回診を大学病院でさせられましたが、これは本当に冷や汗ものでした。ですから、回診者がだいたい自分が考え付くと同じレベルのことを言っているなと感じるときは、相手の方がまず実力が上と考えた方がいいです。初めての回診で自分が気付かなかったような、はっとさせられることを指摘してくれたなら、相手の実力はよほど上と思わないといけないです。あまりたいしたこと言っていないなあと感じるくらいで、だいたい自分と同じレベルと思ったらいいですね。

  訪問されたときに食事をしながら、各国の状況を聞くのも大変楽しいものです。ディエナー先生によると、ドイツは、神経学の歴史が古く19世紀以来多くの高名な神経学者を輩出してきましたが、第二次世界大戦後一時神経内科が大学からなくなって、しばらく神経学者・神経内科医が激減したそうで、その後ここ30 年ほどの間に再び神経内科ができ、その数が増えてきているとのことです。それでも3000人くらいと言っておられました。ちなみに日本では神経学会会員は約8000人で、専門医が約3000人台だったと思います。先月、イタリアに行ったときに牛の脳を食べたことを書きましたが、トロサ先生によると、スペインでは牛だけでなく、羊の脳や魚の脳までも食べると言っておられました。ジョークだったのかもしれませんが。