【年の瀬に(2004年12月28日)】

  早くも御用納めの日を迎えました。今年は最後までインド洋での大津波など、日本全国、世界各地で自然災害が猛威をふるい大変な年でした。九州大学にあっても、独立行政法人化と初期臨床研修必修化の2大改革の荒波が同時に押し寄せましたので、これまた大変な年でした。

  診療においては、当神経内科は病床稼働率113%と向上し、平均在院日数も26日まで短くなりました。九大神経内科には九州あるいは西日本各地から様々な診断・治療の難しい患者さんの来院があり、積極的に受け入れておりますので、どうしても一般の急性期病院の神経内科ほどには平均在院日数は短くなり得ませんが、難病の患者さんにベストを尽くすのが大学病院神経内科の使命と考え努力しているところです。10月に当教室が音頭をとって第一回日本難病医療ネットワーク研究会を立ち上げることができたのは本当によかったと思います。短い登録期間でしたが、会員も100名を越えました。医療ネットワークは今後とても大事ですから、さらなる発展を期待したいと思います。

  研究面においては、今年は教室員筆頭著者の英文原著論文が16編出版または採用となりました。他にも4編現在revision中の論文があります。また教室からの症例報告も英文4編、日本神経学会の機関紙である「臨床神経学」誌に9編が出版ないし採用となっていますので、診療の忙しさにもかかわらず実りの多い年でした。昨年の谷脇助教授のJ Neuroscience (impact factor 8.306)に掲載された論文(機能的MRIによる大脳基底核の運動神経回路網の解析)に続いて、大八木講師の原著論文(アルツハイマー病の神経生化学・神経生物学的研究)がFAEB J(impact factor 7.172)に掲載されるなど質的にも充実してきたと思います。まだまだ満開というわけではありませんが、研究の芽が育ちつつある手ごたえを感じております。基礎医学の教室とは異なり、診療と教育に極めて忙しく研究の時間を十分に作るのが困難な毎日ですが、皆で協力して研究を盛り上げていきたいと思います。おもしろい研究をして、かつ患者さんへ還元できるのがベストです(臨床の教室では研究のための研究、論文を書くためだけの研究はよくない)。当教室では、神経生化学、神経遺伝学、神経免疫学、神経生理学、神経病理学、筋肉病学と今後も幅広い領域で臨床に根ざした研究を展開していきたいと考えております。

  今年は初期臨床研修必修化がスターとしたため新卒入局がなく、今まで以上にマンパワー不足に悩んだ一年でした。これは来年度も同様で、どこの大学病院でも専門的な診療科は今以上にきつくなると思います。ただ中途入局者が今年1名、来年も1名の予定で、これはいい人がきてくれて大変ありがたかったです。当教室は中途入局ウェルカムです。初期臨床研修を終わった人が、今後後期の専門的研修と神経科学研究をめざして入局してくれることを大いに期待しています。

  九大病院の副病院長としては、各科の新しい基準病床の実施、病床数管理のルール決め、共通病床の増床とその管理、空床の有効利用、新病棟II期棟(内科棟)の各科病床の配置、検査技師の一元化と交替制体制、放射線部の交替制勤務、外来採血室の立ち上げ、採血・静脈注射ガイドラインの作成、外来検査室の立ち上げ、外来化学療法室の設置、病院病理部の見直し、地域医療連携室の業務の拡充と配置換え、在宅療養指導室の設置、初めてのMSW(メディカルソーシャルワーカー)の導入、医員の配置基準、診療助手の設置、言語療法士の増員と施設基準の取得、地域における医師確保の提言つくり、病院広報など、総務・人事担当ということで多種多様な仕事にかかわりました。多くの方々のご協力を得て、いずれも実現に向けて前向きに話しが進んだのはまことに喜ばしいかぎりです。新しい事業を始めようとする場合は、会議が増えるといわれますが、年がら年中、会議、ワーキンググループの毎日でした。大変な一年でしたが、初めて病院の多様な職種の方々と関わりを持ったことは、とても勉強になりました。病床の再配置や各科配属検査技師の再配置など、骨が折れることばかりでした。まあ、執行部に入って楽しかったのは、韓国の慶尚大学校病院スタッフの訪問の際に歓迎会の二次会で九大病院の看護部長とジルバを踊ったことくらいでしょうか。うちの看護部長はダンスが上手。

  来年は、いい年でありますように。