【英語で座長を(2005年10月29日)】

  11月2日から約10日間世界神経学会出席のためオーストラリアに出張します。世界神経学会は4年に1回開かれる神経内科のオリンピックみたいなものです。もちろん競争的というよりは、教育的なものでありますが。世界神経学会の前後にそれに関連したシンポジウムやフォーラムがいくつも開かれます。私は、講演を2本、口演発表を1回、座長(chairman)を2回する予定になっています。まだ講演の1本は全く準備ができていませんね(これは講演を頼まれていたのを忘れていて、直前になって思い出して慌てている次第です)。9月から11月の初めまでは学会シーズンで毎週のように出張です。これは教授という立場上やむをえないところがあります。このため毎年レギュラーに出ているもの以外が入る年は猛烈に忙しくなります。

写真1
写真1:Cocco先生 講演の様子

  私は、はっきり言って英語会話がとても苦手です。研究者は留学中に日常英語会話を身につけてくることが多いと思います。もちろん留学する前から上手な人もいますが。私が留学したラボは米国のNIH(国立衛生研究所)のなかの小さなラボで、ラボでは日頃モルモットやウサギとばかり接していましたし、NIHには当時約200家族ぐらいの日本人が留学しており、同じアパートの同じフロアに私と新潟大学神経内科、長崎大学第一内科(神経内科)から留学した先生がいるくらい日本人が多かったので、NIHから帰宅してもほとんど日本語で済みましたから、全く英語会話は上達しませんでした。それで今になって英語で座長をするのが本当に苦痛です。しかも今回の分は終日座長をし続けないといけないので、ほとんど行きたくないといったところでしょうか。
  今年度は5月のMSフォーラムに始まって、8月のMSワークショップ(地中海のサルジニア島からCocco先生をお招きしおおいに盛り上がった。写真 1)、9月の国際頭痛学会のプレセミナー、11月の世界神経学会、MSフォーラムと英語で座長、司会をする機会が多く頭が痛いです。今度のはオーストラリア英語なので、これがほとんど聞き取れません(アメリカ東部に留学した関係でこのあたりの英語の方がまだ聞き取りやすい)。親切な方がいて心配してくれて、わざわざ私の座長のためにオーストラリア英語会話のCDを送ってくれたので、今遅ればせながら聞いております。

写真2
写真 2:スウェーデンの留学生と一緒に
左よりSadikさん、吉良教授、Magnusさん

  9月から10月にかけて6週間ほどスウェーデンから医学生(3年生)が二人私たちの研究室に勉強に来ていましたが(写真 2)、英語がとても上手。うち一人は米国カリフォルニアに在学中に既に半年ほど留学した経験があるそうです。自費で来ているというので、よく来られるなあと思って聞くと、スェーデンでは医学生は在学中にナースあるいはstudent doctorとして働いてお金を稼げるそうです。こうやって若いうちから国際経験を積んで、世界に通用する医師、医学者になるのかと彼我の差に驚いた次第です。(九大でも在学中に臨床教育の一環として4週間から6週間程度外国に留学でき、今までに二人ほど米国の大学のDepartment of Neurologyに世話しましたが、経費の自己負担がネックです。このこともあり、在学中に外国まで勉強に行く人はと九大ではとても少ない状況です。このあたりの資金的なサポートがもっと得られるとよいですね。)

  自分のことは棚に上げて恐縮ですが、これからの若い医師には英語会話は不可欠で、しっかり勉強してほしいと思います。先のスウェーデンの学生には、日本人の教員・ポスドク・院生・テクニシャン・秘書さん(この人は英語が達者)に加えて、うちに留学してきている中国人の大学院生、フィリッピン人の研究生がいろいろと教えて面倒をみてくれていましたが、間違いなく日本人医師が一番英語が下手。スウェーデンに帰って今頃日本人医師のことをどう話しているか、かなり心配ではあります。Scientists speak broken Englishということで、度胸でやってくるしかないですね。