【2007年への期待(2007年2月1日)】

  2007年を迎えました。私は、7という数字が好きです。新しい病棟で神経内科が7階になったのも、実はよかったと感じています。今年は、21世紀になって初めての7の年であり、大いに期待しています。  今年は実績をあげることが求められている年であります。一つは、2006年4月に新病院2階に設置されたブレインセンターに最新鋭の脳磁図が入り、この3月から稼動を始めます。4月からは重藤講師を中心に神経内科の生理グループ医師5~6人でフル稼働を目指します。神経心理検査、誘発電位検査、多極脳波検査、神経超音波検査と併せて、神経内科診療のみならず臨床に基づいた研究の展開が期待されます。飛松教授の率いる脳研臨床神経生理学教室との連携により、世界的なレベルでのヒトの脳についての研究成果があがるよう期待しています。この2月17日には、脳の健康を守るというテーマでブレインセンター主催の市民公開講座(ソラリアステージ6階)を開催する予定です。  私が班長を務める厚生労働省免疫性神経調査研究班も早いもので2007年度が6年目の最終年度です。この間、15〜18年ぶりに多発性硬化症や重症筋無力症の全国臨床疫学調査を実施し、貴重なデータを得ることができました。この成果を治療ガイドラインの作成・改定を通じて患者さんへ還元することが今年度の大きな目標です。9月9日には東京で本研究班主催の市民公開講座を開きます。神経免疫班の基礎的な研究もその成果を世界に向けて発表する年にあたっていると感じています。教室からインパクトファクターの高いジャーナルへのチャレンジを続けていきたいと思います。

  2007年度から医学部の大学院も社会人入学が認められるようになりました。一般病院で勤務しながら(あるいは九大病院で医員をしながら)、夜間に開講される大学の授業を受け臨床研究を行い、九州大学大学院を卒業し医学博士号を取得することが可能になりました。これを受けて今年は当医局でも過去最多の9名が大学院を受験します。この制度を利用すれば、効率よく神経内科専門医と医学博士号(九大大学院卒)の両者を得ることが可能です。できるだけ当医局としても個別の希望に応じたいと考えています。意欲のある人材が集まることで大学が活性化され、教育面のみならず研究面においても成果があがることが大いに期待されます。

  九州大学も独立行政法人化して2007年で4年間が終了します。大学の中期目標は5年ごとに計画の達成が評価されることになっていますが、実際的には4年間の終了で翌年に評価され、次の5年の目標と計画を立てることになります。したがって、2007年度は成果の達成が問われます。これによって次の5年の予算が事実上決まります。国立大学も以前と違ってあわただしい日々になりましたが、これに耐えられないと競争を生き抜いていくことができません。過当な競争の時代ではありますが、全国的な医師不足のなか一般病院に比べると、それでも大学にはまだ若い人材があり時間もあります。一方、大学でないとできない医学研究があります。私たちの神経内科学教室も、この何年間かは本当に人手が不足しており、臨床研修必修化と独立行政法人化が重なったこともあり、極めて厳しい日々でしたが、少し上向いてきたかなあ、という気がします。大学の使命は、明日の医療を切り開くことです。今の最良の神経内科診療を行っている関連病院神経内科と人材の交流を通じて連携し、明日の神経内科医療を切り開いていきたいと願っています。

  2007年度の入局者は、今のところ6名です。2006年度は再入局の一名を除くと残念ながらたった2名でしたから、来年度は3倍増です。巷では大学への揺り戻し傾向が出てきたとの憶測もあるようですが、当医局では臨床研修必修化の直前の年が10名の新入局者数であったことを考えるとまだまだと思われます。今回の入局者をみていると、入局者も多様化したなあと感じます。たとえば、今度の入局者は、九大、熊本大、鹿児島大、長崎大、広島大、帝京大と全て出身大学が異なります。従来、入局者の半分が九大出身者であったことを考えると顕著な変化といえましょう。臨床研修必修化後、新卒者が自己責任で様々なところで研修するようになりましたから、確実に流動化は進んでいます。したがって、この傾向は続くと思います。また、医学部を出たあと工学部を卒業した人や、高校卒業後長くたってから医学部に進学した人など、経歴や出身地も様々。いろいろな経歴の人が入ってくるのは、私はウェルカムで、お互いに刺激を受けていいと思います。また、医局もそれに対応できるように変わらないといけないと考えています。教育面では、いろいろなレベルの人が入ってくることになるので、より一層卒後の神経学教育を充実させる必要があると感じています。研究面では、九大神経内科は豊富な人材を抱えており、脳研には臨床神経生理部門や神経病理部門の教員もいますので、研究への多様な希望にも対応できるものと考えています。また、将来の希望も様々ですが、臨床面でも各地で拠点となる関連病院が多く、神経内科自体が脳卒中の救急から神経難病・筋ジスのケア・リハビリ、高次脳機能まで幅が広く、多種多様な希望にも対応できると思います。臨床研修必修化に伴う人材不足により関連病院からの医師引き上げを多くの大学医局が行ったと聞いておりますが、私たちの医局は何とか交流関係を保つよう努力してきました。いい関連病院での教育研修はとても大事です。関連病院での神経内科医の働く姿をみて神経内科を専門にしようとする研修医が増えるようであってほしいと思います。関連病院と大学とのいい関係が将来プラスに作用するよう期待しています。

  6名のうち、既に九大神経内科病棟で半年以上初期研修中に研修し学外病院でのスタートを希望している1名を除き、5名とも大学でのスタートになります。神経内科は、最初は大学でしっかり臨床神経学の基礎を学んでから役割・性質の異なる一般病院を二つくらい回るのが後期専門研修としては適切と思います。当科の医員の割り当て数は、来年度は7名なので、本当は医員が研修医ばかりでも大変なのですが、医局長に頼んで全員大学でのスタートにしてもらいました。欲をいえば、3月の期限までにもう少し時間がありますので、もう1人増えて7名になるといいなといったところです。若い人の成長に期待したいと思います。