← 前の頁へ

写真12
写真12:桂魚

  江西省人民医院のカルテを見せていただいた。まだ電子カルテ化されていないから、紙のカルテである。驚いたことに1ページ1ページびっしりと全て漢字で埋め尽くされている。 中国だから当たり前といえば、当たり前だけど。ひらがな、カタカタがないのは無論のこと、英語の単語も書かれていない。 日本の神経内科のカルテなら、腱反射や病的反射の有無、感覚障害の分布を人形図に書き込むので、多かれ少なかれ絵が入っているが、それも全然ない。 腱反射は漢字で書いてあるとのこと。とにかく全て漢字でカクカクしている感じ。ところどころ鑑別診断とか書いているのが読み取れる。 日本語は、ひらがな、カタカナがあり、漢字と入り混じって、よほど読みやすい。日本人だから当然か。カルテに英語がないのも単調な感じがする。 仮名混じり文は見た目もバランスよく美しいと僕は思う。ただ、これだけびっしりとカルテが書かれているのは、しっかり鍛えられている証拠といえる。 これはよほど若いのをしっかり鍛えていかないと、将来、日本神経学は中国神経学に完敗するね。

写真13
写真13:湖からとってきたばかりの南昌の淡水蟹

  病院訪問が終われば、もう仕事はない。呉先生は学会の運営があるので、奥さんの王さん、病院の薬剤科主任の胡(フー)先生、病院の運転手の陳さんが観光案内に連れて行ってくれるという。王さんは呉先生といっしょに日本に留学していたので、日本語が当然達者である。一方、陳さん、胡さんは、英語も日本語も通じない。 陳さんは運転するとして、胡さんはなんのためにいるのか今ひとつわからない。とりあえず昼食を囲むが、ビールと例の四特酒が出てくる。 今度のは45度と一層強烈なやつである。胡さんは酒が強くグルメで、おいしい店をよく知っているらしい。それでわざわざ来てくれた模様である。 胡さんは真昼間からとにかくグングン酒を飲む。私に酒をついでくれる手がブルブル大きくふるえてとまらない。これはアル中と思う。 手の震えは酒を飲むとおさまる、手が震えて薬剤科の仕事にならないので、昼間から酒を飲んでいるという。何かいい薬はないかと聞かれる。 これは本態性振戦という病気で、酒は確かにこのタイプの震えを軽くする。でもあなた昼間から酒を飲む言い訳にしているでしょう。 このタイプの人はアル中になることもあるので、適切な治療薬を飲んだ方がよい。呉先生からもらいなさいよ。

写真14
写真14:民家の調理場

  南昌から2時間ほどの湖畔にある温泉地に今夜は連れて行ってくれるということで、陳さんは当然酔っ払い運転でガンガンと高速道路をぶっとばす。 8年前は、そこここに水牛が耕しているのを見ることができたが、今はいない。あいにくの雨で湖には繰り出せないので、民家に料理を食べに行くという。 その民家を訪れると、今から湖に出て魚と蟹を取ってきて料理を作るという。魚は桂魚である(写真12)。桂魚は中国三大名魚の一つ。これは深いところにいるのがおいしいという話で、それをとってきたという。 なるほど白身が引き締まっておいしい。蟹は上海蟹をやや小ぶりにしたやつである(写真13)。これを民家の台所で目の前で料理してくれる(写真14)。

写真15
写真15:地鶏の気管をこれから切るところ

3年育てたという鶏の頚を切り、血を抜いて湯の中で羽毛をむしり、丸ごとスープにしてくれる(写真15)。桂魚も南昌の蟹も地鶏も新鮮でそれはおいしかった。 4人とも四特酒がすすむ。温泉ホテルまでは、さすがに陳さん運転の車もフラフラと蛇行。無事に着いてよかった。中国の温泉は、男女混浴である。水着を着て入る。 広大な土地に、温泉プール、薬湯、洞窟風呂、岩風呂、ジャグジー、滑り台など無数にある。一つ一つ体験するともう深夜である。 最後にみんなで中国式マッサージを受ける。私は若い女の人がやってくれて、丁度いい按配の力で凝った筋肉をもんでくれる。あんまり気持ちがいいので寝入ってしまった。

次の頁へ →