【牛の歩み:10−10−100をめざそう(平成21年1月5日)】

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  さて2番目の10については、IFが10を超えるジャーナルに1報だけポツンと採用されても仕方がないじゃないかと言われるかもしれません。 しかし、IFが10を超えるジャーナルに論文を通すには、広い裾野・しっかりした土台が不可欠です。ここがまだうちは建設途上ですね。 今までは、なかなか医局も人手不足がきびしく、研究にマンパワーを投入することができませんでした。しかし、ここのところ次第に上向きになってきたと思います。 最近は毎年神経学会総会には20題以上演題を出し、10題前後は口演に選ばれています。IF3〜6くらいのジャーナルにはコンスタントに論文が採用されるようになってきました。 平成20年には教室から英文論文が26編採用され、さらに9編が現在revision中です。土台ができつつあるといったところでしょう。
  一般病院は現在の医療を行うところ、大学病院は未来の医療を開拓するところです。神経内科は、この四半世紀で診断・原因究明という点で、信じられないくらい長足の進歩を遂げました。 しかし、まだそれを根治療法の開発として患者さんに還元できるところまでは達していません。でも、これからの四半世紀は、様々な生物学的製剤、細胞療法、遺伝子療法の導入が図られ、神経内科の治療の時代が拓かれることは間違いありません。 チャレンジングな時代です。大学ではいっそう研究に力を注ぎたいと思います。若い人の参入を大いに期待するところであります。 九大病院の内科系広域研修委員会による今年度の調査によれば、卒後3年目以降で初期臨床研修が終了し九大関連の市中病院の内科系で研修している医師の中で、専門領域を決めず入局をしていない人が半数近くいます。 大学医局の敷居が高いということが大きな理由の一つのようです。もし脳科学に関心のある人がいたら、入局は年中を通じて随時受け付けていますので、遠慮なく当医局の門戸を叩いてほしいものです。 また、入局の形はとらず(医局の人事の枠には入らず)大学院だけ神経内科学教室でもかまいません。

  最後の100について言いますと、私は派手に人を集められるタイプではありませんので、ここまでくるのは本当に牛の歩みでした。当医局もいろいろな不幸・不運が重なった時期があり、しばらく前にはどん底のようなところを味わいました。 底入れはしたので、これからは過去を振り返らず前向きにいきたいと思っています。医師1人あたりの診療報酬請求額(医療保険上の稼いだ額ということになりますが)は、年間1億円といわれています(これから実際には支出分を引いていかないと収益は出ませんが)。 医局に100人いれば、単純計算で100億円の集団ということになりますね(もっとも20以上の関連病院や大学病院に分散しているわけですが)。この集団がバラバラでは、社会に対してインパクトを与えることはできません。 神経内科診療という点においては、まとまりをもった集団であることが大事だと思います。このグループとして様々なアイデア・情報・提言を社会に対して発信していくことが望まれます。 100人の総合力で世界にインパクトを。